「試合で打てよ」「僕も思ってました」 阿部監督のゲキを忠実再現…心を掴んだ“愛されキャラ”

リチャードが1点差の7回に同点の4号ソロ「腹を決めていました」
■巨人 5ー2 ヤクルト(5日・東京ドーム)
とんでもないパワーだった。巨人・リチャードは1点を追う7回2死、右腕ランバートの153キロを逆方向、右翼スタンドへ突き刺した。同点の4号ソロ。「腹を決めていました。僕がヒットを打っても各駅停車。長打が欲しいので強いスイングを心がけて。バットを短く持っていなかったし、長打が打てたらいいなと思っていた」。満点解答だった。
試合前の打撃練習。ラストスイングで右中間方向へ強烈な当たりを飛ばした26歳に、阿部監督は「試合で打てよ」と声をかけた。辛口のゲキだったが、当のリチャードは妙に納得したようだった。「僕も思ってました。『試合で打てよ』って。練習で打てて」。試合終盤の第3打席、指揮官のゲキを忠実に再現した。
2軍では本塁打王に5度輝く未完の大器だが、ソフトバンクでは1軍定着できず。巨人移籍後も打率.143と安定感に欠くが、一振りでドームの空気を変えてしまうパワーがある。「あれがあるんでね。あの数字ですけど、使いたくなっちゃうんですよね」と阿部監督。リチャードの魅力にすっかり取り憑かれているようだった。
試合後の囲み取材では“ぶっちゃけトーク”を炸裂。同級生のヤクルト・村上の高校時代を振り返り、「(高校時代から)打球が見えないぐらい速くて。清宮の次ぐらいに、いや清宮よりヤバいんじゃないかと思ってました」。この日、2発のキャベッジをキャベッジが見せるポーズを真似てベンチで出迎えた。「ホームランでテンションが上がるので。でも、なんでやっているかわからないっす」。何度も報道陣の笑いを誘った。
真夏の9連戦がスタート。「9連戦は長いんで、ちょっと怯えているんですけど……。でも、がむしゃらにやるだけだと思います」。このキャラクター。多くのG党も魅了していくに違いない。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)