松井秀喜氏の忘れぬ敬意 5分間の会見で6度…揺るがぬ長嶋さんへの“変わらぬ関係”

セレモニーに参加した巨人OBの松井秀喜氏【写真:小林靖】
セレモニーに参加した巨人OBの松井秀喜氏【写真:小林靖】

松井秀喜氏は長嶋さんの追悼試合セレモニーに参加した

■阪神 3ー0 巨人(16日・東京ドーム)

 巨人OBの松井秀喜氏(ヤンキースGM付特別アドバイザー)が16日、東京ドームで行われた阪神との「長嶋茂雄終身名誉監督追悼試合」でセレモニアルピッチを行うなど、セレモニーに参加した。取材対応では長嶋さんへの思いを述べるなか、今でも強く慕っている様子を何度も垣間見せた。

 背番号3のユニホームを着用し、投球前にはマウンドからボールを天に掲げた。「『投げますよ』って。『監督、投げますからね』って。それだけです」と語り、投球はストライク。「(長嶋)監督が見守ってくれたんじゃないですかね?」と笑顔で振り返った。

 盛大なセレモニーになったことについては「監督が一番喜んでくれているのでは。常にファンの皆さんに気持ちが向いている方だったので。皆さんが喜んでくださるのは監督自身が喜んでいると思います」と語った。約5分間の取材対応で6度、長嶋さんのことを「監督」と称していた。

 1992年のドラフト会議で4球団競合の末、当時の長嶋監督が松井氏の交渉権のくじを引き当てた。入団後、長嶋さんは松井氏の指導に心血を注ぎ、松井氏も巨人の4番として成長していった。在籍10年間で332本塁打。2003年のヤンキース移籍後も両者の信頼関係は不変で、国際電話でバットの素振り音を聞いてもらいながら指導を受けたことは有名なエピソードだ。

 この日の中継のゲストにも登場。2013年5月5日に長嶋さんと一緒に出席した国民栄誉賞授与式で着用していたスーツで出演。松井氏は中継で当時を回顧し、「私がおねだりしたんです。『一緒のスーツでいきたいんですけど』と言って『わかったよ、作っておく』と言っていただいた」とやりとりを披露。「正直恐れ多いので、私は(国民栄誉賞を)辞退したい気持ちでしたけど、監督から『お前と一緒だから嬉しいんだ』と言われて、決心がつきました」と明かした。

 松井がヤンキースに移籍した2003年から所属チームの監督と選手という関係ではなくなった。しかし松井氏のなかで「監督」は永久に長嶋茂雄さんなのだろう。今でも固い絆で結ばれている。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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