オリ20歳が見つけたバロメーター…来季迎える“育成最終年” 宮國凌空の崖っぷちの思い

2年目は2軍戦で安定した投球内容
オリックスの育成2年目、宮國凌空投手が、高めのストレートを磨き支配下入りへの活路を開いている。
「意識的に高めに投げたストレートの方が、低めよりボールの質が良く強いと感じたので、高めで空振りやファウルを取るイメージでずっとやっています」。ちょっぴり胸を張った。
宮國は沖縄県宜野湾市出身。東邦高(愛知)では3年春の甲子園で2試合に先発し、2023年育成ドラフト3位でオリックス入りした。1年目はウエスタン・リーグで6試合に登板し、防御率7.59。2年目の今季は、基本的に先発で調整しているが、チーム事情もあり先発6、中継ぎ7の計13試合に登板し、3勝3敗、防御率2.20と大幅に改善し安定感を増してきた。
好調の秘密は、高めのストレートの意識を変えたことにある。「低めに投げようとすると、低すぎてボール、ボールになってそれを続けてしまう傾向があったんです。それで低めを狙うのをやめて高めに投げたら、空振りやファウルが取れ、1球でアウトを取ることもできるようになったんです」と宮國。昨季は10回2/3で14あった四球も45回で24に減り、制球に苦しむことも少なくなった。
経験を重ねてわかったこともある。「自分の好不調のバロメーターとしても、みることができるんです。その日、ボールがいってなければ高めでも打たれますし、ファウルを取れていればその日の真っ直ぐがいいということで、状態が確認しやすいんです。そういうプラスの面もあります」と明かす。
また、投球術も身につけることができた。「真っ直ぐの調子が悪くても、悪いから使わないと打者の選択肢が減ってしまうんで、高めを意識させて変化球を低めに集めるなど、悪くてもどう生かすかというのも勉強しています」
海外のウインターリーグに参加した投手や捕手は、低めに投げることが重要視される傾向が強い日本に比べ、高めのボールで勝負することを学んで帰ってくることが多い。宮國は「僕は、低めに投げてボール、ボールになるくらいなら、高めを気持ちよく投げたいと思います。打たれたら、それがその日の状態ですし、抑えたら自信になります」という。
球速が上がったことも、高めのストレートでの勝負を後押ししている。7月11日の阪神戦(杉本商事Bs舞洲)では、最速152キロをマーク。「平均球速が昨年は140キロ台前半だったのですが、今年は140キロ台後半もよく出ています。高めで勝負するための自信になります」。
エース宮城大弥投手と同じ、宜野湾ポニーズ出身。「宮城さんは、そこまで高めは使わず横の幅をすごく使うのでタイプ的には違います。僕は縦系のタイプなので、攻め方は違ってくると思います」と冷静に分析する。
来季は、育成契約最終年。「高卒なのでまだ早いと言われるかもしれませんが、いつ怪我をするかわかりませんし、いつ野球ができなくなるかもわかりません。そう考えると、やっぱり1日でも早く支配下になりたいと思います」。20歳の宮國が来季を見据え、実績を重ねていく。
(北野正樹 / Masaki Kitano)