2軍調整でも「余裕が生まれた」 配球にメンタル…山崎颯一郎が明かした成果

オリックス・山崎颯一郎【写真:栗木一考】
オリックス・山崎颯一郎【写真:栗木一考】

2軍で再調整でも表情は明るく

 オリックスの山崎颯一郎投手が、配球に対する意識の変化をテーマに今季3度目のファームで調整を続けている。

「自分の中で足りないものを考えて、やるようにしています。ただ(打者を)抑えるのではなく、絶対にやっちゃいけないことをキャッチャー任せにせず、考えて投げています」。山崎が明るい表情でテーマを明かしてくれた。

 敦賀気比高(福井)から2016年ドラフト6位でオリックスに入団。3年目にトミー・ジョン(TJ)手術を受け育成選手になるなど紆余曲折はあったが、2021年に支配下再登録されると最速160キロのストレートとフォークで復活。2023年には53試合に登板し、リーグ3連覇に貢献した。

 昨季は「右肩鎖骨の奥と背中側の筋肉の肉離れ」で7試合登板にとどまり、復活をかけた9年目の今季は開幕1軍でスタートしたものの、3試合に登板しただけで2軍落ち。4月末に昇格したが約1か月後に抹消され、7月15日に再登録。しかし、8月5日の楽天戦(楽天生命パーク)でサヨナラ打を許し、翌日から2軍で再調整を続けている。

 表情が明るいのには理由がある。今季2度の登録抹消時は、フォームが安定せずストレートの球速が伸びないなど、技術的な問題を首脳陣に指摘されたのに対し、今回は自らテーマを考えた。「やることは何かと考え、必要だと思うことを提案させていただきました。今回は、言われたことをやるのではありません。岸田(護)監督や厚澤(和幸投手)コーチからも、『今の投げ方、フォームは絶対に変えるな』と言っていただきました」と山崎。

「ここは絶対に内に入っちゃダメだよとか、絶対に高さを間違っちゃダメだよ、というのをこれまで以上に考えて投げることをテーマにしています。ボールはいいのに、(打者の)得意なところに投げてしまい打たれているのが、すごくもったいないなと思って」。これまでも配球をおろそかにしてきたわけではないが、捕手に頼り過ぎずに意図を持ったボールを投げ込むことに意識を変えたという。

 配球を考えることで、メンタル面でも変化が生まれた。「抑えようという気持ちが大事なんですが、自分の中で余裕が生まれました。カウントを追い込んでいるのに、いっぱいいっぱいになっていたのが、余裕があれば苦しくはなりません。チームでは9回を任されているので、落ち着いて投げられるようになりました」と明かす。

 球威も増した。「前もインコースに投げていましたが、ボールが弱くなることがあったんです。今は内を狙っても155キロが出ています。強いていうと、フォークでもっと三振が欲しいですね」と課題を挙げる。ウエスタン・リーグでは3試合に登板し、3イニングで被安打1、2奪三振、1四球、無失点。「ファームでみんな頑張っています。自分の順番がくるまで、しっかりと自分のやることをやるだけです。思い通りに投げることができなかった去年に比べれば、野球ができていますから」。焦らず、自分が掲げたテーマに向き合う。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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