侍U-18の守備職人が持つ“特殊能力” 美技の裏で…備えた「100回に一度が来た時に」

大学代表との壮行試合でU-18の奥村凌が守備で魅せた
守備でチームを救った。「ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ」に出場する侍ジャパンU-18日本代表は31日、沖縄セルラースタジアム那覇で大学日本代表との壮行試合を行い1-7で敗れた。この日「6番・二塁」で出場した奥村凌大内野手(横浜)は4回のピンチの場面で、チームを助ける好守を披露した。
1点リードされて迎えた4回、2番手の中野大虎投手(大阪桐蔭)が四球と2本の安打からピンチを迎えた。無死満塁の場面で、先制ソロを放っている5番の小島大河捕手(明大)は一、二塁間へ高いバウンドの打球を放った。一塁手が懸命にジャンプするも届かず、右前に抜けるかというところを二塁手の奥村凌が走り込み捕球した。
これだけでは終わらない。「一塁手の頭の上を越えて、一塁走者が遅れている所まで見えたので、まず先の塁でアウトを取ろうと考えました」と、さらにそのまま体を外野側から回転させ、二塁へ送球。抜けていれば2失点というところを1点に抑え、さらにアウトまで奪った。
まるで忍者のように素早く捕球、そして迷いなく送球し一瞬でアウトを取ってみせた。「守備は自分の中でも大事にしています。自分の持ち味を生かす事ができました」。冷静に振り返るが簡単にできる芸当ではない。
当たり前のプレーで磨いた「周辺視野」
甲子園でも、準々決勝の県岐阜商戦で9回に同じような守備で、サヨナラ負けのピンチから救っていた。「あの時も周辺視野で走者の遅れを見る事ができました」。プレーをしながら、周りで何が起きているのか把握する周辺視野。この能力が他の選手より優れている。
小さい頃から周りを見る事は得意だったと話すが、最初からプレーに活かせた訳ではない。横浜高校に入り、普通のプレーを当たり前にできるようにすることを磨いた。すると「いつもと違う動きがあると、自然と目に留まるようになって。それで今日のようなアウトのバリエーションも増えたのかなと思います」と、当たり前を極めたからこその産物だと明かした
「起こるかわからない、100回に一度のプレーが来た時にアウトに出来るように、何気ないプレーも意識してやっています」
W杯は7回制。計21個のアウトをどんな形でも取る。印象に残る派手なプレーが全てではない。勝利のために守備から貢献し続ける。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)