“格下”に大苦戦の侍U-18 国際大会で直面…指揮官が明かした苦悩「正直言って負けゲーム」

U-18侍ジャパンはイタリアにわずか5安打に抑え込まれた
初戦の厳しさを味わった。侍ジャパンU-18日本代表は5日、沖縄セルラースタジアム那覇で行われた「ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ」でイタリア代表との初戦に臨み、4-1で勝利を収めた。わずか5安打に抑え込まれ、相手の失策に助けられる形での辛勝に小倉全由監督は「キツかったですね」と“苦悩”を吐露した。
世界ランキングだけで比べれば、14位のイタリアは1位の日本より“格下”という位置づけ。とはいえ、各世代の総合成績から出された順位であり、今大会に出場しているチームの強さを単純比較できるものではない。だからこそ、選手も監督も全力でぶつかっていった。それでも苦戦した。
先発の森下翔太投手(創成館)が、5回までわずか2安打に封じる好投で試合を作ったものの、打線は4安打に抑えられ、5回まで押し出しの1得点のみ。さらに焦りから守備にミスが出て、6回に同点に追いつかれる。それでも打線は2死満塁から投前へのボテボテのゴロで万事休すと思われたところで、一塁への送球ミスから走者全員が還り一挙3得点を奪って勝利した。
想像以上に厳しい展開だった。試合後に小倉監督は「正直言ってキツかったですね……」と開口一番、苦しさを口にした。さらに「これが初戦の難しさなんですかね。バッターも自分のタイミングで打てていませんでした。初戦は監督を何年やっていても難しいですね」と肩を落とした。
小倉監督が求めた「日本の高校野球らしさ」
どんなにうまくいかなくても堂々と選手たちを見守った。試合前に小倉監督は「バッターボックスに送ったら監督は何もできないから。みんなを信じているから、遠慮なく力を出し切ってくれ。結果なんて恐れず、結果が出なかったら次の選手がカバーすればいいから」と伝えていた。
初戦の難しさを分かっているからこそのアドバイスだった。実際、同点を許す失策をした三塁手の為永皓内野手(横浜)はミスの直後、ダイビングキャッチで併殺を奪いチームを救うビッグプレーを見せた。うまくいかなかった後、周りからもすぐ切り替える声が飛んだ事も大きかった。
他にも小倉監督は今大会で「日本の高校野球らしさ」を重視していると話してきた。「優勝を目指しますが、日本の高校野球の素晴らしいところも、(各国に)見てもらわなければならない。勝ちだけじゃなくて、マナー的な面などを重んじる中で勝っていきたい」。結果以外の部分の大切さを説いてきた。
「正直言って負けゲーム」と語るように満足のいく内容ではなかった初戦。それでも勝ち切れたのは、小倉監督が選手に求める“日本らしさ”と失敗を恐れぬ環境づくりがあったからだろう。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)