「韓国は因縁の相手」 逸材にライバル心も…日本の最速男が直球で押し切った理由

韓国戦で力投したU18日本代表・石垣元気【写真:加治屋友輝】
韓国戦で力投したU18日本代表・石垣元気【写真:加治屋友輝】

侍U-18の石垣は2番手で登板しわずか1安打に抑えた

 侍ジャパンU-18日本代表は6日、沖縄セルラースタジアム那覇で行われた「ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ」で韓国と対戦し、4-2で勝利した。5回から2番手として登板した石垣元気投手(健大高崎)は3回1安打4奪三振、無失点の好投。試合後には「韓国は日本の因縁の相手と思っていたので、勝ててホッとしています」と安堵した。

 先発は末吉良丞投手(沖縄尚学)。2回に2点を失ったものの地元沖縄の声援を力に変え、4回4安打3奪三振2四死球2失点の好投で試合を作った。その後を継いだ石垣だったが、2四死球を与えるなど不安定な立ち上がり。「いつもと同じマウンドでも雰囲気が全く違かった」と今大会初登板に戸惑った。

 それでも、「韓国はストレートに弱いと聞いていたので、低く真っすぐを投げて行こうと決めていました」と、自慢の150キロ台の直球で韓国打線を押し切った。2イニング目以降は「力み過ぎていたので、まずは低めに」と意識を変え、わずか1安打に抑える圧巻の投球を見せた。

 力んだ理由は相手にもあった。韓国の先発はエース、パク・ジュンヒョン投手。身長188センチ、体重95の恵まれた体格から最速157キロを誇り、W杯後に行われる韓国プロ野球(KBO)のドラフトでは全体1位指名候補の逸材だ。

 ベンチから見ていた石垣は「身長も高く、自分にはないものを持っているな」と感心しながらも、最速158キロを誇る投手として「負けたくない」と闘争心が湧きたっていた。そのライバル意識が力みにつながり「球が高くなってしました」と反省を口にした。

大舞台で初めてフォームを変更していた

 実は大舞台で大胆な“変化”もしていた。石垣はこれまで、走者がいない時でもセットポジションから投げてきたが、この日からノーワインドアップに変更。「昨日ブルペンで投げている時に、こっちの方が下半身で粘れるなと思って変えました」と自らの感覚で思い切って変更した。

「全然怖くなかったです」。ぶっつけ本番でのフォーム変更にも動じない、肝っ玉の強さが売りだ。日韓戦という部分にも心が燃えた。「韓国は日本の因縁の相手と思っていたので、勝ててホッとしています」。同じ1勝でも、かける思いは特別なものがあった。

 試行錯誤を繰り返しながら、成長を続ける日本のスピードキング。日本の誇りを胸に腕を振り続ける。

(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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