大谷翔平、腕を組み見つめた屈辱の敗戦 両膝に手をつくベッツ…ド軍、悪夢の23分間

ドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】
ドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】

オリオールズファンすら山本を応援も…待っていた衝撃の結末

【MLB】オリオールズ 4ー3 ドジャース(日本時間7日・ボルティモア)

 まさに衝撃の負け方だった。ドジャースは6日(日本時間7日)、敵地でのオリオールズ戦でサヨナラ負けを喫した。ただの敗戦ではなく9回2死まで山本由伸投手が無安打投球を披露しながら、その後4失点でひっくり返されるまさかの結末となった。

 23分間の9回裏の攻防。客席の雰囲気は徐々に変わっていった。9回に山本がマウンドにあがる際には、オリオールズのファンも快挙を祝おうと立ち上がり、山本がストライクを奪うと拍手して歓声をあげた。

 しかし、あと2ストライクというところで、オリオールズの1番ホリデイが右翼へのソロ。フェンスギリギリの打球になったが、オリオールズのスコアボードに待望の1が刻まれた。

 山本はこの時点で112球。自身も「打たれたら交代だと思っていた」と語るように、現在のメジャーリーグでは先発投手は100球以内が定石。無安打投球を続けたことでここまで続投していたが、ロバーツ監督はトライネンへの継投を決断。しかし、裏目に出る結果となっていまった。

 ロバーツ監督は試合後、「完封とノーノーを逃してしまったし、彼を投げさせすぎたように感じていた。(継投で)あと1アウトを奪えればと思っていた」と山本の降板について説明した。

 そのトライネンはジャクソンに二塁打、ヘンダーソンに死球を与え、場内の雰囲気が徐々に変わっていく。一発出れば同点の場面で、4番マウントキャッスルには四球。カウザーにも四球で押し出しとしてしまい、球場は押せ押せムードに。急いで肩を作ったスコットを送り込んだが、リベラにサヨナラ打を許した。

 ベンチの大谷は腕を組んでサヨナラの瞬間を見つめ、険しい表情で裏へ。遊撃を守るベッツは両膝に手をついた。ドジャースファンはまさかの敗戦に固まり、衝撃の出来事にオリオールズファンは頭を抱えた。

 連敗が続いていたドジャースだが、この日は送りバントを決めたロートベットをベンチ全員で迎え入れてハイタッチをするなど、ベンチの雰囲気は良さそうに見えた。

 9回2死までノーノーしても勝てない――。悲惨な結末に指揮官は「ヨシノブの活躍を台無しにしてしまった…」と落胆。「心理的ダメージは大きいか」と問われ、「ああ……そうだろう……」と下を向いた。試合が終わって1時間後、誰もない球場には、悲しみの雨が降り注いでいた。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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