侍J以外の試合で響いた“日本の応援” 国を知らずも…中学生が異国に声援を送った理由

U-18プエルトリコ代表を応援する日本の中学生たち
「ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ」が7日、沖縄セルラースタジアム那覇で行われ、イタリアとプエルトリコが対戦。この一戦では侍ジャパンの試合ではないにも関わらず、プエルトリコ側のスタンドからは日本語の応援が響いていた。
日本戦を第2試合に控えた、第1試合でイタリアとプエルトリコの試合が行われる中、プエルトリコ側のスタンドには日本の“応援団”が駆けつけていた。プエルトリコのユニホームと同じ色の青と赤に身をまとい声を出すのは、那覇市立松島中学校の野球部だ。
これは那覇市の観光課が行っている、市内の小中学校が外国の代表チームと異文化交流を図る施策。複数の学校が交流をする中で、同校はプエルトリコを担当することになった。
夏の甲子園で沖縄尚学が優勝して以来、子どもたちの野球への興味が高まり、生徒たちも前向きに参加しているという。この企画参加の知らせを聞き、応援団長を務める田中鯉太朗(こいたろう)は「すげえ、俺らがやるんだ!」と興奮したと振り返る。
応援はこれまで取り組んだことがなかったが、自分たちで高校野球の応援を参考に考えた。また、那覇市からは応援のための資金が提供され、プエルトリコのステッカー付きメガホンを購入。さらに、約2週間前には放課後、那覇市から講師を招いて1時間ほど今大会の意義やプエルトリコについて学ぶ授業も開かれた。
下地龍真(しもじ・りゅうま)主将はプエルトリコについて「全然知らなかったです。野球が強いというくらいで、何語を話すのかも」と話したが、授業を重ねていくうちに興味が出てきた生徒も多かったという。さらに試合を間近で観戦したことで「自分たちとは野球をする雰囲気や声の圧が全然違う」と学びも多いようだ。
企画への参加を決めた野球部顧問の渡真利将平(とまり・しょうへい)先生は「野球の勉強も兼ねながら、国際交流というか、他の国に興味を持ったり、外国語を学ぶきっかけになればいいなと思います」と語り、生徒たちの未来に思いをはせた。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)