首位打者は「獲れたらラッキー」 太田椋が貫く“自然体”の姿勢…「全く意識していません」

オリックス・太田椋【写真:小林靖】
オリックス・太田椋【写真:小林靖】

太田椋、首位打者は「全く意識していません」

 オリックスの太田椋内野手が、熾烈な首位打者争いの陰で子どもたちに夢を与えることを忘れずプレーに集中している。「僕が野球選手をやっている以上は、子どもたちに夢を与えるということが大事だとずっと思っています」。大差を縮める満塁本塁打を放ち、チームサヨナラ勝ちにつなげた日、太田が目を輝かせた。

 8月17日の西武戦(京セラドーム)。太田は0‐6の5回、隅田知一郎投手から中堅へ8号の満塁本塁打を放ち、追撃ムードに火をつけた。試合は6回に中川圭太内野手の9号同点2ラン、延長12回には廣岡大志内野手の5号ソロが飛び出してサヨナラ勝ちした。

 試合前の練習で、多くの子どもたちの声援に手を振って応える太田の姿があった。小学6年生の頃に京セラドームで行われたオールスターゲームの始球式に登板した太田は、逆転2ランを放ちMVPに輝いた中村紀洋内野手(DeNA)の活躍が印象に残っているという。冒頭のコメントには、プロ野球選手に憧れを持った小学6年の自分と同じように、観戦した子どもたちに夢を持ってほしいとの思いが込められていた。

 ファンとの交流では今季、うれしい出来事があった。「あなたの夢叶えます presented by Bs選手会」のイベントで、出産する男児に「椋」という名前を付ける夫婦から「命名書」の揮毫の依頼を受けた。「お子さんに自分の名前を付けていただくなんて、うれしい気持ちでいっぱいです」と感激を隠さなかった。

 8月26日のロッテ戦(京セラドーム)では延長12回にサヨナラ打を放ち、3万人超の観客に勝負強さを印象づけるとともに、首位打者に返り咲いた。「首位打者ですか? 全く意識していません。獲れたらラッキー、くらいにしか思っていません」。安打を求めず、しっかりと自分のスイングができる打席を作る太田にとって、ファンの存在が打席での集中につながっている。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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