国際大会で思わぬ経験「ほぼ初めて」 困惑も…甲子園優勝左腕にあった“独特”の感覚

プエルトリコ戦に登板したU-18日本代表の西村一毅【写真:加治屋友輝】
プエルトリコ戦に登板したU-18日本代表の西村一毅【写真:加治屋友輝】

西村が2回1安打2奪三振無失点の好投で試合を締めた

 独特の感覚で乗り切った。侍ジャパンU-18日本代表は9日、沖縄セルラースタジアム那覇で行われた「ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ」でプエルトリコと対戦し3-0で勝利した。3番手で登板した西村一毅投手(京都国際)は雨の中での登板となり、濡れた球への対応に苦労した。

 勝てばオープニングラウンド1位通過が決まる大事な一戦は、悪天候の中始まった。試合前から悪雲が立ち込める不安定な天候で、試合開始は20分遅れた。試合が始まっても雷が鳴り、途中から雨も降り始めた。

 先発を任された奥村頼人投手(横浜)が3回を無失点に抑えると、2番手の早瀬朔投手(神村学園)が2回を1安打無失点で繋いだ。6回から登板した西村は「自分は奥村(頼人)をライバルだと思ってやってきたので、いいピッチングをしていて負けたくないという思いと、繋いでくれたゼロを絶対に守り切るという気持ちで投げました」と思いを込めたマウンドとなった。

 ただ、気合いとは裏腹に雨は強くなるいっぽう。2年時に甲子園優勝投手になり、経験豊富な西村だったが「雨の中で投げる試合はほぼ初めて」と適応に苦戦した。西村の“宝刀”はチェンジアップ。強い腕の振りからボールを“抜いて”投げるタイプの変化球に雨は天敵だった。

「ボールは滑ったんですが、ロジンをつけて耐えようとしました」。生命線となる精度を必死に維持した。「返球の時にどうしても濡れてしまう。なので、ロジンはいつもより多くつけて、ボールがネチョネチョする感覚になるように工夫しました」。

“独特”の感覚でなんとか切り抜けた。水分を含んでしまう事をある程度受け入れながら、ロジンで新たな感覚を生み出した。この好投には小倉全由監督も「あの雨の中でね、よく投げましたよ。うちが守っているときだけ雨が強くなって……」と称えた。これでオープニングラウンド全勝。世界一に向け、どんな環境でも投げる準備はできている。

(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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