“ブチギレ”退場の米国監督に「あれはない」 侍指揮官のブレぬ信条「マナー重んじる」

米国代表監督が判定に抗議、激昂し退場となった
激闘の中でも変わらぬ“信条”がある。侍ジャパンU-18日本代表は11日、沖縄セルラースタジアム那覇で行われた「ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ」スーパーラウンド初戦で米国代表と対戦し、延長タイブレークの末6-2で勝利した。8回には米国のリック・ハーベルト・エクスタイン監督が判定に抗議し、退場処分になった。この抗議に侍ジャパンの小倉全由監督は「あれは良くない」と苦言を呈した。
両チーム一歩も譲らない激戦となった。先発した末吉良丞投手(沖縄尚学)が5回1死で降板するまで無安打の好投を見せ試合を作った。その後守備のミスから先制を許すも、7回に阿部葉太外野手(横浜)の安打から1死二、三塁とすると横山悠捕手(山梨学院)が右前適時打を放ち同点。さらに大会規定によりタイブレークで行われた延長8回、無死満塁から岡部飛雄馬内野手(敦賀気比)が走者一層の二塁打を放ち、勝ち越しに成功した。
問題のシーンはその後に起きた。なおも無死二塁で藤森海斗捕手(明徳義塾)が犠打。捕手が拾い一塁へ送球したが打者走者に当たり、ボールが外野を転々としている間に6点目が入った。ここで、すぐさまエクスタイン監督が抗議に走った。藤森が白線の内側を走り、守備の妨げになっていたのではないかと強く主張した。
送球が当たった一塁線まで出向き、内側を走ったとジェスチャー交じりに何度も訴えた。抗議を受け審判団が協議することになったが、判定は変わらずセーフ。エクスタイン監督はこの結果に納得いかず、再度審判に詰め寄り激高。その瞬間、退場が宣告された。
日本の高校野球ではまず見られない事態に、試合後の小倉監督も「あれはよくない」と指摘。さらに「だってラインしっかり走っていますからね。内側を走ったなんてことは絶対にないですから。あの抗議は良くないと思います」と言葉を選びつつも苦言を呈し、選手を守った。
今大会が始まった時から小倉監督は「勝ちだけじゃなくて、マナーを重んじる中で勝っていきたい」と語ってきた。勝負に徹底的にこだわりながらも、忘れてはならない部分がある。高校生が行うスポーツとして、不変のこだわりを貫いた。