ドイツに16歳、195センチの“逸材左腕” MLBスカウトも重ねたサイ・ヤング投手の影「似ている」

U-18ドイツ代表のアプル・バウム投手にMLBスカウトも注目
未来のスターの可能性を秘めたポテンシャルがある。「ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ」が沖縄県で9月5日から開催され、世界から“逸材候補”たちが集まっている。その中で、ドイツ代表で腕を振る16歳左腕にMLBスカウトも注目している。
世界ランクは18位と今大会に出場する12チーム中10番目のドイツ代表。決して強豪国とは言えないながも、オープニングラウンドでは世界ランク10位のオーストラリア代表に勝利するなど健闘した。その中でチームを引っ張ったのがアプル・バウム・トム投手だ。16歳ながら195センチと恵まれた身長から、最速150キロの角度のある球を投げる左腕だ。
初戦のオーストラリア戦では、先発し2回2安打3奪三振無失点の好投。チャイニーズ・タイペイ戦では、2回を投げ2失点したものの許した安打はわずか1本だった。チームはグループリーグ突破とはならなかったが、13日最終戦の南アフリカ代表に先発すると、この日も2回のみの登板。味方のエラーも絡み2失点したものの、「本調子ではなかったがコントロール出来た」と自慢の直球と大きく曲がるスライダー、チェンジアップを武器に1安打2奪三振の粘投を見せた。
そんな“未完の大器”について、匿名を条件に取材に応じてくれたMLBスカウトは「目についたのは、ドイツのアプル・バウム投手。全然名前も知らなかった選手」と印象に残る選手の1人として名前を挙げた。まだまだこれからの選手としながらも、「まず体が大きくて、左投手で。真っ直ぐも強いしスライダーも曲がり幅がかなり大きい。さらにドイツ出身というのが一番びっくりでした。球も強いし技術もいい」と潜在能力に可能性を感じている。
また、「クリス・セールに少し似ていましね。体つきや真っ直ぐの強さ、スライダーの曲がりとか。あとはストライクをもっと取れるようになれば更にいい投手になれると思います」と2018年まで7年連続2桁勝利を挙げ、2024年にはサイ・ヤング賞を受賞した球界屈指の左腕に重なる部分を見たという。
サッカーが盛んな国で育ったが、父の影響で物心ついた頃から野球一色の人生だったアプル・バウム。「道のりはまだ長いですが、将来はメジャーリーガーになりたい」と力強く目標を語った。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)