巨人リチャードは「本格化する兆しが見えた」 HRよりも…専門家が絶賛した“2つの凡打”

奥川から鷹時代の通算本塁打を上回る11号2ラン
■巨人 4ー2 ヤクルト(17日・神宮)
巨人のリチャード内野手は17日、神宮球場で行われたヤクルト戦に「7番・一塁」で出場し、第1打席で11号2ランを放った。奥川泰伸投手の内角高めの直球を見事に捌いた一発。現役時代にヤクルトなど4球団で活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「本格化する兆しが見えた」と絶賛した。
2点を追う2回2死一塁の第1打席だった。カウント1-1から内角の直球を振り抜いた。高々と上がった打球は左翼ポール際に着弾。同点2ランとなり、試合を振り出しに戻した。
野口氏はこの本塁打について「決して優しくない球を上手く打ったなと思います」と振り返った。ただ、本当に評価したのはその直後の打席。この日は第2打席、第3打席は空振り三振、第4打席は右飛に倒れていたが、そこに打席での“考え”が見えたという。
「本塁打の直後とかは、インコースの真っ直ぐを上手に捌いた後、投手としては直球を投げにくいですよね。特に初球は。変化球を狙ってそれをドンピシャに振り抜いていました」。結果的にはファウルになったものの痛烈な当たりを見せていた。
対木澤でも見えた狙い「これからどんどん伸びていく」
さらに8回の第4打席も野口氏は“狙い”がはっきり見てとれたという。この日、相手の木澤尚文投手は直球とシュート系の制球に苦戦していた。そんな中、リチャードが狙ったのは比較的ストライクを取れていたカットボール。「考えて打っているように見えましたね。これからどんどん伸びていくと思います」。
一方で狙い球を絞れているからこそ、課題も見えた。「次は狙い球を絞ってドンピシャの球が来た時にしっかりと逃さない実力をつけること。今日も2回ともファウルにしてしまっている。これはこれからの課題かなと思いました」と話す。
昨季まで5年連続ウエスタン・リーグの本塁打王を獲得しながら1軍では通算10本塁打に終わっていたリチャード。今年5月に巨人へトレード移籍するとすでに通算成績を上回る11本のアーチを描いた。「パワーは間違い無いんだから、あとは課題が克服できれば、今年に限らず、来年以降もさらにいいバッターになるかもしれないですね」。規格外のアーチを描く“未完の大器”が大成する日もそう遠くないかもしれない。