大谷翔平の“刺客”は元阪神助っ人 最強軍団で異色の転身…今も忘れぬ虎党への感謝

阪神などで活躍しブルワーズの球団スタッフを務めるジャスティン・ボーア氏【写真:小谷真弥】
阪神などで活躍しブルワーズの球団スタッフを務めるジャスティン・ボーア氏【写真:小谷真弥】

元阪神のジャスティン・ボーア氏はブルワーズの球団スタッフとして活躍中

「オヒサシブリ! ゲンキですか?」。どこかで聞いたことのある日本語。元阪神のジャスティン・ボーア氏だ。2020年にメジャー通算92本塁打の長打力を買われて阪神入り。「バースの再来」と期待された助っ人だ。

「今はミルウォーキー・ブルワーズの選手育成部門で働いています。ドラフトされたばかりの若い選手からメジャーリーガーまで幅広く関わっています」

 肩書きは「選手育成・打撃アドバイザー」。今回はいわゆる“スコアラー”として、10月のポストシーズンで対戦する可能性があるドジャース、フィリーズの偵察にやって来た。

「オオタニとは2019年にエンゼルスでチームメートでした。彼の凄さで一番驚いたのは速球やパワーではなく、走力でした。とても速かった。素晴らしいアスリートです。今年のポストシーズンで戦えたらいいですね。それに私は幸運なことにイチローとも(マーリンズで)プレーできた。両選手を間近に見られたのは特別な経験でした」

 阪神では17本塁打とパワーを発揮したが、打率.242と安定感に欠いた。年俸250万ドル(当時2億7500万円)と高額年俸もネックとなり、同年限りで退団。「タイガースでの一番の思い出は何ですか?」。NPBでプレーしたのは1年だけだったが、身振り手振りで熱く語ってくれた。

「ユウスケ・オオヤマとコウジ・チカモトとは仲が良かったです」

「ファンです。阪神タイガースのファンは僕のキャリアの中で最高のファンでした。コロナ禍で球場に来られない中でも、SNSを通じて、たくさん応援してもらいました。今でも『甲子園にまた来て』と声をかけてくれます。スポーツ新聞は毎日タイガースが一面。本当にありがたいことでしたし、毎日プレーするのが楽しかったです。本当は2021年もタイガースに戻ってきたかったです」

「ユウスケ・オオヤマとコウジ・チカモトと仲が良かったです。あと広島のセイヤ・スズキに二塁でタッチアウトになったこともよく覚えています。その後、ライトに飛んだ打球では二塁を狙わなくなりました(笑)」

 退団後の2021年は韓国プロ野球・LGツインズに所属。2022年はメキシカンリーグでプレーし、同年オフに現役引退した。その後はジョージ・メイソン大へ復学してスポーツ経営学の学士号を取得。2024年からブルワーズの球団スタッフとなった。

「引退後はジョージ・メイソン大学に戻って学位を取り、その後すぐにブルワーズで働き始めました。今は新しい仕事で頑張っています」

 阪神を退団してまもなく5年が経つ。「夏は冷たいトンカツが好物でした(笑)。それと醤油ラーメン、寿司、神戸牛も好きでした」と語ると、再来日への思いを明かした。

「阪神がここ3年で2度優勝したのも知っています。今も日本が大好き。少しだけ日本語も覚えましたし、必ず行きたいです」

 ドジャースと同じナ・リーグに所属するブルワーズは両リーグトップの勝率.612を誇る。37歳の表情は充実感でいっぱいだった。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY