「もっと上に行きたい」 オリ宮城大弥が口にした見えない成長…見据える抹消明け

今季からエースナンバー「18」を背負った
オリックスの宮城大弥投手が、エースの重圧をポストシーズン進出へのモチベーションに変え、シーズン最終盤のマウンドに臨む。
「プレッシャーを感じたこともあります。考えすぎかなと思ったことも。でも、結果が変わらないのなら考えても仕方がない。それなら楽に投げたらと思うようになりました」。コンディション調整のため今季、5度目の抹消期間を球団施設で過ごしている宮城が、静かに口を開いた。
6年目の今季、開幕から3連勝、3連敗、3連勝で6勝3敗。数字の上では左胸を痛めて長期離脱した昨季の成績(7勝9敗)に及ばず、エースの責任を背負い込んだことが原因と指摘する解説者もいた。
実際、開幕前には背番号「18」を背負った宮城から「ほぼ先輩ばかりですけど、引っ張っていけたらいいと思っています」という言葉が聞かれた。それまで、「何年後かに『あの時代のエースは宮城だったね』と言われるのが理想です。それまでは“裏エース”でいいんです」と謙虚な性格そのままに口にしていたが、チーム内での立場が発言内容を変えていったようだった。
マインドセットをした宮城の今季の成績は、決して悪くない。21試合に登板して、3つの勝ち越し。勝ち負けに関係のない試合は15試合もあり、クオリティスタート(QS、6回以上自責3以内)は18試合を誇る。イニング数は143回1/3とキャリアハイ(2022年の148回1/3)も目前。
密かに胸を張る数字もある。158奪三振、奪三振率9.92は、キャリアハイを更新中だ。「去年のように完投(3試合)もありませんし、今年に関しては(先発の最低限の)仕事だけをしていると見られているのかもしれません。シーズンは終わっていませんが、見えない部分の数字はよくなっているので、そのあたりは成長しているのかなと思っています」と頷いた。
「CSや、もっと上に行きたい。それ以外にありません」。エースの自覚はそのままに腕を振る。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)