田嶋大樹、後輩が描く“再挑戦”の夢へ助言 育成・芦田丈飛…金言が「整理してくれる」

オリックス育成の芦田、田嶋の助言で「リセットできるんです」
オリックスの育成2年目右腕、芦田丈飛投手が、同僚の田嶋大樹投手から受けたアドバイスで支配下登録入りへの再スタートを切ることができた。「支配下を逃して結構きつかったのですが『今がゴールじゃないから。俺なんかでいいなら何でも話を聞くから』と言ってくださって」。先発から中継ぎに転向して支配下登録入りを目指す芦田が、田嶋への感謝の思いを口にした。
芦田は英和高(千葉)、国士舘大、社会人オールフロンティアを経て、独立リーグ・ルートインBCリーグの埼玉武蔵ヒートベアーズに入団。2023年に抑えとして南地区リーグ優勝に貢献し、同年の育成ドラフト4位でオリックス入りした。
プロ1年目の5月中旬から2軍で先発起用される機会が増え、2年目の今季はウエスタン・リーグで8月末までに18試合のうち、17試合で先発。2勝3敗と結果を残しつつあったが、支配下登録入りのチャンスを逃した。
田嶋とは、高校3年時に訪れたJR東日本の練習見学が、初めての出会いだった。多くの高校生をお世話する担当だった田嶋には、芦田の記憶は残っていなかったそうだが、オリックスに入団後に芦田が挨拶時に当時のお礼をしたことから、気にかけてくれるようになったという。
今も大阪の球団施設、舞洲でキャッチボールの相手を務めてくれる田嶋からは、先発投手のキャッチボールの球数や投げる距離などの調整方法を教えてもらったほか、登板した試合のアドバイスをもらっている。「毎回(2軍戦の)映像をみてくださっているようで『前回はこうだったけど、今回はこうだったね』というような話をしてくださいます」。
自分を型にはめず柔軟な思考でトライしていく田嶋らしく、アドバイスもソフトだという。「タジさんって、バンっていう感じじゃないんです。なんか、ふわっと来て、『大丈夫か』って。僕、結構、考えるタイプなんですが、それをタジさんが整理してくれるという感じですね。今、考えていることや求められていることをタジさんに言ったら『こうしたらいいんじゃない』と。タジさんと話すと、リセットできるんです」。答えが出ない悩みが、パズルを解くように解消されるそうだ。
支配下登録期限の7月31日までに吉報は届かなかった。1軍が求めたのは中継ぎの「パワーピッチャー」。充実した先発陣に食い込めなかった芦田は、9月から中継ぎとして再スタートを切った。独立リーグ時代に中継ぎ、抑えを経験しているが、先発とは調整方法も違い150キロ超のストレートはまだ復活していない。「回またぎもありますから、コントロールの良さは残しつつ、球速を上げていきたいですね」。パワーピッチャーとして輝き、田嶋と1軍で汗を流す日を目指す。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)