米挑戦の村上宗隆より「強い印象」 元NPB助っ人が26歳大砲をMLBに推薦「彼ならできる」

阪神・佐藤輝明【写真:矢口亨】
阪神・佐藤輝明【写真:矢口亨】

MLBで最後にデビューした日本人野手は2023年の吉田正尚

 2023年に西武でプレーしたデビッド・マキノン氏は日韓米でプレーした後、今年7月に現役引退を発表した。西武在籍時、MLBで活躍できると確信した選手が何人かいたと言い、実際に選手へ直接「(MLBに)トライしてみたら?」と勧めたという。昨オフ移籍して今季MLBデビューを果たした選手は佐々木朗希、菅野智之、小笠原慎之介と全て投手だったが、NPB選手の潜在能力を実際に目の当たりにして、野手の挑戦にも期待を寄せている。

 NPBでのプレーは西武での1年だけだったが、パ・リーグで活躍する主砲に対して「ものすごいパワーを持っているんだから(MLBに)トライしてみたら?」と、疑問を抱いていた。米球界挑戦についてはよく日本人選手らと議論したが、その打者は「最近の選手で圧倒しているのはオオタニだけ。出場機会を争うために本当に海を渡りたいか分からない」という回答だった。続けて、マキノン氏は26歳大砲の名前を挙げた。

「阪神のサトウ。素晴らしい能力の持ち主。『この男はすげースイングをしている』と、思いました。正直な意見を言うと、ムラカミよりサトウのスイングの方が強い印象が残りました」と、絶賛。MLB移籍は「空振りの数を少なくできれば可能。彼ならできると思います」。守備についても「いずれ改善されると思います。ベリー・グッドです」と、太鼓判を押した。セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTAのデータによると、9月30日終了時点で佐藤の三塁のUZRは1.7。去年の-10.8から大きく改善している。

印象に残ったオリックス投手陣「I hate Orix!」

 投手については「オリックスの投手陣は全員グッドでした。I hate Orix’s pitching!」と、笑いながら答えた。その中でも印象的だったのは今永昇太投手とタイプが似ている、宮城大弥投手だったという。マキノン氏は右打者で、宮城は左投手だが「それでも彼は嫌いでした。えげつない左投手だと、右投手よりも厄介に感じます」と、明かした。「彼と初めて対戦した試合はチェンジアップを捉えてマルチヒットを記録したのですが、その次の試合で3三振したんです。日本で(1試合)3三振したこれが最初で最後です」と、修正能力の高さにも舌を巻いた。

 脅威だったのはスプリットだったといい「意図的にやっていたのか分かりませんが、真っすぐに落ちたり、内角に食い込んできたり、その反対に変化したりもします。(対応が)難しかったです」と回想した。どうにか宮城に対応しようと、スプリットを捨て、打席ではベース寄りに立つよう工夫をこなしたが、投手別としては最多となる通算4三振を喫した。

 その他にマキノン氏が印象に残った選手として浅村栄斗内野手、中川圭太内野手、森友哉捕手、山下舜平大投手を挙げた。現在自身が司会を務めるポッドキャスト番組「Pacific Swings」では、NPB時代のパイプを生かしNPB助っ人とともに多角的な視野で球界ついて語っている。引退後の活躍にも注目したい。

データ提供:DELTA
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。

(増井貴志/Takashi Masui)

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