楽天一筋14年、初の日本一にも貢献 ガッツ、強肩…岡島豪郎の名場面を振り返る

楽天・岡島豪郎【写真:小林靖】
楽天・岡島豪郎【写真:小林靖】

捕手として入団も、直訴で外野手転向…リードオフマンに定着

 楽天・岡島豪郎外野手が9月21日、今季限りでの現役引退を発表した。球団創設初の日本一に輝いた2013年には、2年目ながらリードオフマンとして打線をけん引する。以降も長年主力として躍動し、2024年には球団生え抜き選手としては5人目となる通算1000試合出場を達成した。ガッツあふれるプレーだけでなく、持ち前の明るさでもチームメイトから慕われた。その一方で、度重なる故障にも悩まされた。今回は岡島の14年間を振り返っていく。

 2011年ドラフト4位で白鴎大から入団。捕手で入団したものの、2013シーズン途中に出場機会を求め、当時監督を務めていた星野仙一氏に直訴し、外野手に転向した。以降は主に「1番・右翼手」としてスタメンに名を連ね、打線をけん引。同年は規定打席には届かなかったものの、79試合で打率.323と好成績を残し、球団創設初となるリーグ優勝、そして日本一に大きく貢献した。

 翌2014年には、キャリアハイとなる142試合に出場。2015年こそ出場機会を減らしたものの、2016年以降3シーズンはいずれも100試合以上に出続けた。2019年には、捕手再転向を決意し、背番号は2シーズンにわたって付けた「4」から再び「27」に。しかし、2017年に亜脱臼した左肩の状態が思わしくなく、2月に手術。同年4月には右ひじの手術も受け、プロ入り後初めて1軍公式戦に出場せず、シーズンを終えた。

 2020年には、オープン戦で右手親指を骨折した影響もあり、35試合の出場にとどまったが、再び外野手登録で迎えた2021年は安定した成績を残して復活のシーズンに。2023年の出場試合は再び100を超え、2024年にはNPB通算529人目となる通算1000試合に出場も、今季は1軍出場機会を得ることができず、ユニホームを脱ぐ決断をした。

岡島の名場面を振り返る

 ここからは、岡島の数々の名場面のなかから、4つの場面をピックアップする。

 ホームランバッターではないものの、岡島のこの一発は、多くのファンの記憶に残っているだろう。2016年7月9日ソフトバンク戦、8回に東浜巨投手の変化球をはじき返すと、打球はぐんぐん伸びてライトのポール際に着弾。本塁打の判定がなされたが、協議の結果、ポールの右側を通ったとしてファウルに。それでも、岡島は再度打席に入ると、4球目を完璧に捉え、今度は確実にライトスタンドへ運んだ。

 度重なる怪我や手術を経て、再び外野手登録で臨んだ2021シーズン。中でも5月に圧倒的な成績を残した。4月半ばから調子を上げ始めると、「日本生命セ・パ交流戦」では、チームトップの打率.375を記録するなど、5月は月間打率.398と圧倒的な成績をマーク。続く6月にも月間打率.330を残し、バットで存在感を発揮した。

 同年、夏場に一時調子を落としたものの、9月は再び3割近い月間打率を残すなど、シーズン終盤に復調。10月13日のソフトバンク戦では、同点で迎えた9回、1死満塁で打席に入ると、森唯斗投手の初球を鮮やかにはじき返し、チームを2021シーズン初のサヨナラ勝利に導いた。苦難を乗り越えた復活の2021シーズンは、ファンにとっても印象深いものだろう。

 強肩を生かした好守も数多く生まれた。2022年7月18日オリックス戦、打線が5回に逆転し、1点リードで迎えた6回。1死二塁で、福田周平外野手が放った打球は、ライト方向へ。フライを確実に捕球すると、飛び出していた二塁走者を見逃さず、すばやい返球でタッチアウトとした。相手に傾きかけた流れを断ち切る見事なプレーで、勝利を手繰り寄せた。

 現役引退を発表した9月21日、イースタン・リーグ公式戦のホーム最終戦が行われた楽天イーグルス利府球場に岡島の姿があった。

 同日は「1番・右翼」で先発出場し、大勢のファンが見守るなか、第1打席で安打をマーク。チームはその後、入団当初から切磋琢磨しながらともに戦ってきた同期・島内宏明外野手の一打でサヨナラ勝利。試合後には胴上げが行われ、岡島の目には涙があふれた。なお、10月4日には、楽天モバイルパークで行われる西武戦終了後、岡島の引退セレモニーが実施される予定だ。

 度重なる怪我に苦しみながらも、前に進み続けた14年間。楽天一筋で戦い続け、チームメイトやファンから愛されたベテランが惜しまれながらもバットを置く。

(「パ・リーグ インサイト」後藤万結子)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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