守護神の重圧も低迷の苦しみも… 「戦友」だった森唯斗&山崎康晃、日本一直後の叱咤激励

17登板に終わった山崎「彼がいなかったら(心が)折れていたかなって」
「お前がやらなきゃ、優勝できないんだよ!」。昨年DeNAがリーグ3位から26年ぶりの日本一に駆け上がった直後、森唯斗の熱い叫びが響いていた。視線の先にいたのは、山崎康晃。しかし今季、両投手は不本意な成績に終わり、ペナント奪還とはならなかった。
森は今季限りで12年間のプロ野球生活に終止符を打った。9月30日に横浜スタジアムで行われた引退セレモニーは“異例”ともいえる光景だった。ファームからも多くの選手が駆けつけ、かつてソフトバンクでともに戦った仲間たちの姿も多くあった。DeNAでの在籍はわずか2年ながら、人望の厚さは一目瞭然だった。
冒頭の言葉は当然、山崎にとっても大きなものだった。「そういう期待をちゃんと言葉で伝えてくれる。いろいろな思いがあって僕も過ごしてきていますけど、彼がいなかったら僕も(心が)折れていたかなって。さじを投げるのは簡単なので。彼の存在に救われたし、何度も勇気をもらったなと改めて思いますね」。
山崎は森のことを「戦友」と表現した。学年は森の方が1つ上だが、同じ1992年生まれ。ともにルーキーイヤーから1軍の舞台に身を置き、守護神を担ってセーブ王にも輝いた。一方で近年は苦しいシーズンが続き、長いファーム暮らしも味わった。
「心の拠り所、そういう存在でしたね。ずっと同じ場所で投げてきて切磋琢磨してやってきましたし、僕自身が弱音を吐ける存在。グラウンドでもそうですけど、それ以外でもずっと寄り添ってくれていました。なんと心のある人だと思いますね」
山崎は今季、17試合で0勝3敗1セーブ、防御率4.20。目標としている通算250セーブ達成は、残り「18」で持ち越しとなった。森から受けた叱咤激励は、ずっと胸の中にある。「ちゃんと結果を残してチームをいい方向に導けるように。来年絶対250しますから」。10月2日に33歳の誕生日を迎えた背番号19の目は、逆襲へ燃えていた。
○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。北海道総局で日本ハム、東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。
(町田利衣 / Rie Machida)