味わった下剋上を“新天地”で…岩嵜翔が明かす短期決戦の極意 3位からのCSに「楽しみしかない」

オリックス・岩嵜翔【写真:小林靖】
オリックス・岩嵜翔【写真:小林靖】

CSは1位圧倒的優有利も…3位球団だからこその“武器”も

 オリックスの岩嵜翔投手が、ソフトバンク時代の豊富なクライマックスシリーズ(CS)の出場経験などを基に、敵地で戦う3位チームの戦い方を指南した。

「1位で待ち受けるチームが圧倒的に有利なんですが、最初(ファーストステージ)は3試合なので、勢いに乗ったもん勝ちです。当たって砕けろじゃないですが、負けて当然というか、こっちはボーナスステージみたいなもの。下剋上する時って、そういう気持ちが強くて勢いに乗る時ですね」。CS経験が豊富な岩嵜が声を弾ませた。

 岩嵜は、市船橋高から2007年高校生ドラフト1位でソフトバンクに入団。2017年はセットアッパーとして72試合に登板し、最優秀中継ぎのタイトルを獲得した。人的補償で中日に移籍するまでの13年間で、ソフトバンクは11回(1位6回、2位3回、3位2回)もCSに出場。岩嵜は2017年のファイナルステージで5試合のうち4試合に登板し無失点で、日本一に貢献した。

 一方で、2年目の2010年はリーグ優勝を果たしたが、3位からファーストステージで楽天に2勝を挙げてファイナルステージに進出してきたロッテに3勝4敗で敗れた。試合出場はなかったが、ロッテの下剋上を目の当たりにし、這い上がってくるチームの勢いを痛感した。

 初出場は、2014年の3位日本ハムとのファイナルステージ。「あまり覚えていないのですが、怖いもの知らずで投げていましたね。今の若い選手はあまり物怖じすることはないし、勢いよく投げてくれればいいんじゃないですか。普段通りでいいと思います」。才木海翔投手や入山海斗投手ら、大舞台の経験が少ない後輩にアドバイスを送る。

「もう少し上の順位の方がよかったですが、少しは貢献することができたかな。久しぶりのCSなので、ワクワクして楽しみでしかないですね。若い選手も楽しまなきゃ損だと思います。他の3チームは経験できないので、楽しんでやれば財産になるのではないでしょうか」

 短期決戦に備え、シーズン終盤は出場選手登録から外れ、球団施設で調整。「最後は疲れからやっぱりきつかったかなという感じでした」と明かし、シーズン中にあまりやってこなかったウエートトレも、投球フォームにつながるような爆発力や瞬発力を生むものに取り組んできたという。

「3連投にも挑戦し、勝ち上がりたいと思います。最後は気力です」。ブルペン陣を支える右腕が、下剋上に照準を当てる。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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