山本由伸の揺るがぬ“矜持” 打ち込まれても…思い起こす指揮官の名言「やられるわけがない」

フィリーズ戦に登板したドジャース・山本由伸【写真:荒川祐史】
フィリーズ戦に登板したドジャース・山本由伸【写真:荒川祐史】

山本由伸は5回途中67球6安打3失点でポストシーズン初黒星

【MLB】フィリーズ 8ー2 ドジャース(日本時間9日・ロサンゼルス)

 鋭くコンタクトされた瞬間、思わず大きく叫んだ。ドジャースの山本由伸投手は8日(日本時間9日)、本拠地で行われたフィリーズとの地区シリーズ第3戦に先発登板し、5回途中67球、6安打3失点でポストシーズン初黒星を喫した。ターニングポイントは4回先頭で浴びたシュワーバーの1発だった。

 右翼席最後方にまで飛んだ豪快弾。1球の怖さを、またしても知った。「4回は、先頭に本塁打を打たれてそのまま続けて3点取られたので、何とか最少失点で抑えられたらもっと試合の流れが変わっていたかなと思います」。味方野手の拙守もあり、踏ん張ることができなかった。

 敵地で2連勝を飾り、本拠地に戻ってきたフィリーズとの地区シリーズ。快投で勝利の美酒を浴びるはずだった。「全体的にそんなに悪かったわけではない」と言うように、3回まではハーパーに四球を1つ与えただけだった。

 4回先頭のシュワーバーには「ボールが先行してしまって。3球目のストレートをうまく打たれてしまった」と唇を噛んだ。悔いがあるとすれば「スプリットだけ、うまく良いところに投げられなかった」とし「ストレートは良いボールがいってました。カットボールだったり他のボールも良い球が多かった」と他の持ち球でカバーするマウンドになった。

 適応能力の高い右腕だけに、次戦での修正が期待される。山本の登板後に思い出された“名言”があった。オリックス在籍時の2023年、阪神との日本シリーズ。第1戦の先発を任されるも6回途中10安打7失点でKOされた。ただ、第6戦では9回138球1失点で完投勝利。意地を見た、当時の監督中嶋聡氏は「前回やられましたけども『山本由伸が2回連続でやられるわけがない』と思って信頼して出しました」と太鼓判を押した。

 勝っても負けても、一喜一憂することなく“白紙”に戻すのが、剛腕のルーティンだ。「その日のことはそこで終わり。また新しい戦いがありますし、その連続がシーズンなので」。ピンチを脱して絶叫しても、すっと元に戻る。“失敗”しても、また成長につなげる。それが背番号18の矜持。山本の2025年は、まだ終わっていない。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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