佐々木朗希が掴んだ新しい居場所 完全試合から3年半…“怪物”が吠えた夕暮れと夜空

救援登板したドジャース・佐々木朗希【写真:ロイター】
救援登板したドジャース・佐々木朗希【写真:ロイター】

佐々木朗希の完全試合から3年半…思い出す吉田正尚の言葉

【MLB】ドジャース 2ー1 フィリーズ(日本時間10日・ロサンゼルス)

 あれから3年半。ドジャースの佐々木朗希投手は“怪物”ぶりを増している。9日(日本時間10日)、本拠地で行われたフィリーズとの地区シリーズ第4戦で、同点の8回から救援登板。3回を投げて1人の走者も許さない“完全投球”を披露し、延長11回の劇的勝利に貢献した。歓喜の美酒を浴びる23歳を見て、夕暮れのZOZOマリンスタジアムを思い出した。

「どうしようもなかったですよ。完敗、脱帽、なんとでも書いてください。そう思った日でした。年齢とか関係なく、完全に相手が上でしたから」。そう言うのは当時オリックスの主軸を張っていたレッドソックスの吉田正尚外野手だった。2022年4月10日。ロッテのユニホームを着た佐々木は20歳5か月で完全試合を成し遂げた。

 13者連続三振を含む1試合19三振は日本タイ記録。わずか105球のパーフェクト投球に、スタジアムは息を飲んだ。気がつけば、試合が終わっていた。27個のアウトで誰1人も出塁を許すことはなかった。

「あの日、完全試合をした佐々木朗希くんは僕たちの遥かに上を行った。完全にあっちが上だった」。球界屈指の好打者が素直に“令和の怪物”の凄みを語ったことを、鮮明に覚えている。

 11月で24歳を迎える佐々木は海を渡り、異国の地で挑戦を続けている。同僚の山本由伸投手が「(救援は)慣れない位置だと思いますけど、すごく良い仕事をしていると思いますし、本人も良い顔をしてプレーしているのでよかったなと思います」と話すように、表情に自信がみなぎっている。

 27個のアウトを奪って、捕手・松川に向かって大きく両拳を突き上げた3年半前。100マイルの直球に、キレの鋭いスプリット。怪物は進化を止めない。絶景は自分の手で手繰り寄せる。悩み抜いた男は、強い。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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