DeNAの2点目呼んだ“神判断” 悪天候、丸佳浩の「もう一歩」…コーチが明かす判断の根拠

1-0の3回1死二塁から蝦名の左前打で二塁走者の林が一気に生還
■DeNA 6ー2 巨人(11日・横浜)
DeNAは11日、横浜スタジアムで行われた巨人とクライマックスシリーズ、ファーストステージ第1戦に6-2で勝利し、突破に王手を掛けた。1-0の3回に蝦名達夫外野手が左前適時打で貴重な追加点を入れたが、三塁コーチを務める河田雄祐1軍外野守備兼ベースコーチ兼野手コーチが降りしきる雨の中で下した“好判断”がもたらした得点だった。
3回、先頭の林琢真内野手が左前打で出塁。ケイが犠打を決め、1死二塁の好機をつくった。蝦名が山崎のカットボールを引っ張ると、打球は三遊間を抜けた。一瞬、足を滑らせたかに見えた林だったが、河田コーチが右腕をグルグル回す。隙をついた走塁で、林はヘッドスライディングでホームを陥れた。
河田コーチが説明する。「林がまず脚力があるということ。ちょっと丸が、下(グラウンド)が濡れているのでライナー系でかなり様子を見ていたからどうかなと思ったけど、1死だけどなかなか(山崎)伊織もハマっちゃうと点が取れないし、一、三塁に置いておいてもゲッツーがある。ちょっとなんかあったら回そうかなと思っていたんだけど、そこで丸がもう一歩、最後グッとチャージきていたら回していないかな。ちょっとライナー系だったので、もう少しスピンがかかってピュンってくると思ったんじゃないかな」。広島時代にともに戦った丸の特徴を誰よりも理解していることも、大きかった。
朝から降り続いた雨の影響で、グラウンドコンディションは決して良いとは言えない状況。三塁付近の土はぐちゃぐちゃだった。それでも気を抜かない走塁をしていた林を、河田コーチは「止めるかなと思って走ってくる選手が結構いるけど、しっかり走ってきてくれたね。だからああいうタイミングになった」と称えた。
林も「行くつもりで走っていて、回されていたのでいきました。ベース周りが濡れているのは情報に入っていたので慎重に。回すかは河田コーチの判断なので、自分はなるべくトップスピードで三塁にいくことを考えていました」と胸を張った。
2戦勝ち抜けの超短期決戦。その後にはCSファイナルステージも控えている。三浦監督は「天候はかなり悪いですけど、日程的にもよほどがない限りは中止にしないと。だから雨を嫌がるんじゃなくて、相手が嫌がってくれればその分プラスに捉えて、雨を味方にして全員で出し切って戦っていこうと話をしました」と明かした。まさに、雨による一瞬の隙を突いて手にした1点。筒香の2発やケイの好投、牧の復帰後初適時打など好材料が多かった試合の中で、キラリと光るプレーだった。
(町田利衣 / Rie Machida)