なぜ大谷翔平は打撃不振に陥ったのか 打率.056の急ブレーキ…復活の“鍵”を検証

フィリーズとの地区シリーズでは打率.056、本塁打なしに終わった
ドジャース・大谷翔平投手はなぜ不振に陥ったのか。レッズとのワイルドカードシリーズでは9打数3安打の打率.333、2本塁打と好発進したが、フィリーズとの地区シリーズでは18打数1安打の打率.056、本塁打なしに。ワールドシリーズ連覇へは不動の1番打者の復活は欠かせないが、成績不振に終わった理由はどこにあるのか。MLB公式サイトの「ベースボール・サバント」から克服すべき課題が見えてくる。
フィリーズ首脳陣が徹底していたのが、クリストファー・サンチェス、ヘスス・ルザルド、レンジャー・スアレス、マット・ストラームといった左の好投手をぶつけてきたことだ。地区シリーズの20打席のうち大谷が対左腕は実に16打席。安打は第2戦の7回に左腕ストラームから放った右前適時打の1本のみだった。
ただ単に大谷は左投手が苦手なのかと言えば、そうでもない。今季の対左投手の成績は222打数62安打の打率.279、15本塁打、OPS.898。打率.283、40本塁打、OPS1.076だった対右投手の成績から少し数字を落ちるが、それでも上々の成績を残している。
ただ、「ベースボール・サバント」で細かい成績を見ていくと、大谷の“弱点”が見えてくる。ズバリ相手投手の「腕の角度」だ。
今季は腕の角度が40度以上、いわゆるオーバーハンドで投じている左投手には打率.313、11本塁打、OPS1.101と結果を出したが、腕の角度が40度以下のサイド気味に投じてくる左腕になると成績は一気に下降。123打数27安打の打率.220、4本塁打、OPS.603となる。フィリーズとの地区シリーズで対戦した左投手でもサンチェス(6打席)、ルザルド(4打席)、ストラーム(2打席)は腕の角度が40度以下だった。
13日(日本時間14日)に開幕するリーグ優勝決定シリーズではブルワーズ、カブスの勝者と対戦する。ブルワーズには先発ホセ・キンタナと救援ジャレド・ケーニッグ、カブスは今永昇太、マシュー・ボイド両先発が腕の角度が40度以下の左投手に該当する。なお、この4投手との今季対戦成績は15打数2安打の打率.133、0本塁打、OPS.266だった。
一般的に左打者vs左投手で投手が有利な理由は「球が背中から来る球筋は見えにくくなり、体が開くから」と言われる。左投手と対戦する際は、右投手と対戦する時と比べて多少オープン気味に開いて打席に立っている大谷だが、より球筋の見えにくくなる“サイド左腕”に対して、ボールとの距離をどう取って対策するか。打者・大谷にとっては、これが打撃復活のポイントと言えそうだ。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)