日本の“電車通勤”を「軽く見ていた」 米国より短時間なのに…元助っ人の苦悩「クレイジー」

西武時代のデビッド・マキノン氏【写真:矢口亨】
西武時代のデビッド・マキノン氏【写真:矢口亨】

元西武のマキノン氏が語る電車移動

 2023年に西武でプレーしたデビッド・マキノン氏はわずか1年の在籍ながら明るいキャラクターで人気を博した。そんな助っ人が忘れられないのは“電車通勤”。「あれはクレイジーだったよ」と苦笑いする。

 マキノン氏は2023年に西武と1年契約を結び打率.259、15本塁打、50打点、OPS.728をマーク。本塁打と打点はチーム2位だったが、契約がまとまらず1年で退団した。

 そんなマキノン氏が忘れられないのは電車通勤だ。安全面の観点から1年目の助っ人には車の利用が認められていなかった。「そもそも、左側通行に衝撃を受けたんです。私が運転したら『事故を起こしちゃうかも!』って思ったんです!」と笑う。

 それでも慣れない電車利用には大苦戦した。「使いこなすのは一番難しかったですね」。ましてや当時、子どもは1歳だった。「子どもは自由気ままに行動しますからね。なので、1歳児を公共交通機関に乗せることは大変でした」と振り返る。

 西武の助っ人が電車でベルーナドームまで通勤するのはファンにとってはおなじみの光景。最初は環境に驚きながらもファンとの触れ合いを楽しんでいた。しかし、夏場になると30度を優に超える所沢……。途中で写真をお断りすることもあったという。

「猛暑の日は『君たち、もう写真終わり! サインはいつでも応じるけど、写真はなしね』って言いました。なぜなら、電車の中は(米の気温単位の華氏で)体感100度(約37.8度)の状態でしたからね!」

遠征にも苦戦「軽くみていた」

 他にも遠征の移動も想定外の大変さだった。メジャーリーグの方が試合数も多く、時差もある。ましてやマイナーだと長時間のバス移動なども聞くが……。「私は遠征を軽く見ていました」と振り返る。

 メジャーリーグでは移動は全てチャーター機。身体検査の時間も短く、乗り継ぎもない。一方で、日本では公共交通機関を利用する。

「飛行機に1時間半、新幹線に2時間半乗って何本か乗り継ぎみたいなことがありました。日本では移動の時に完全にリラックスすることはできませんでした」

 それでも当時の助っ人の中では12球団トップのWAR「2.1」を残した。変化を受け入れる姿勢が、好結果に結びついていた。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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