右肘リハビリ中に移籍…Bジェイズ大勝呼んだ“好投” 指揮官も絶賛したCY賞右腕の実力

ブルージェイズはマリナーズに13-4で大勝
【MLB】Bジェイズ 13ー4 マリナーズ(日本時間16日・シアトル)
ア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)が15日(日本時間16日)、マリナーズの本拠地T-モバイル・パークで行われ、ブルージェイズが13-4でマリナーズに大勝。対戦成績を1勝2敗とし、勝てば球団初のワールドシリーズ進出に王手を掛けるマリナーズの勢いを止めた。
負ければ後がなくなる第3戦、ブルージェイズの猛打が爆発した。初回、マ軍の3番・フリオ・ロドリゲスに2ランを浴び先制を許したが、3回に一気呵成の逆転。無死二塁、9番・ヒメネスの右越え2ランで同点とすると、2死満塁から相手先発・カービーの暴投で勝ち越し。さらに2死満塁から5番・バーショが右翼フェンス直撃の2点二塁打を放ち、打者9人の猛攻で一挙5点を挙げた。
試合の主導権を握り返す猛攻へお膳立てをしたのは先発のマウンドに上がったシェーン・ビーバーだった。初回の立ち上がりに失点し重くなりかけた空気を2回の3者連続空振り三振で浄化。ブルージェイズのジョン・シュナイダー監督は、2回の12球を心から称え、口角を上げた。
「私が思うに、この試合で最も大きかったのはシェーンが3者三振で終えた2回の投球だ。ゾーンを突くストレートの制球よし、カーブよし、スライダーもチェンジアップもよかった。リズムよく投げる、シェーンそのものだ」
自分のリズムをつかんだベテランは、相手打者のタイミングを外す投球を展開した。4回2死で対峙したドミニク・キャンゾーンに投じた8球は秀逸だった。初球のストレートから一転、カーブとチェンジアップを交互に配し空振り三振を奪った。中盤5回に今ポストシーズン4本目の本塁打を放ち相手を突き放したゲレロは「攻撃に弾みをつける投球をしてもらった」とベテランの完全復活に笑顔を見せた。
ブルージェイズは、昨春に右肘靭帯修復手術を受けメジャー復帰を目指しリハビリに励むビーバーの頭脳的な投球と経験値を高く評価し、トレード期限の7月31日にガーディアンズから獲得。8月の下旬に約1年4か月ぶりにメジャーに復帰し、終盤の7試合に投げ4勝2敗でポストシーズンのローテーションに入った。苦しみを乗り越えた2020年サイ・ヤング賞投手の6回4安打2失点8奪三振の安定した投球が短期決戦でチームにもたらしたものは大きい。
シュナイダー監督の胸中「0勝0敗と思って臨む」
マリナーズ広報によると、ポストシーズンでは、7回戦制のシリーズで0勝2敗とリードされたチームの突破確率は93回中15回の16.1%。現行の2試合→3試合→2試合の方式となって以降は、第1、2戦を本拠で連敗したチームの突破は27回中わずか3回、11.1%と低い確率となっている。
0勝2敗で敵地に乗り込んだシュナイダー監督は前日の会見で言った。
「一発勝負なら僕らは今頃オフの旅行でもしてるところだろうね。でも、このシリーズは7回戦制だ。勢いや流れはどう変わるか誰にも分からない。だからこそ、その日戦う試合に集中するんだ。ありふれているかもしれないけど大切なのは“1戦必勝”だ」
そして、あすへの気持ちを短い言葉にこめた。
「0勝0敗と思って臨む」
第4戦の先発マウンドはサイ・ヤング賞3回、通算221勝のレジェンド右腕、シャーザーに託す。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)