山本由伸に「奇襲をかけられなかった」 球界OB絶賛の「14」…MLB最強軍団を封じた“修正力”

配球の変化とゾーン使い分けに米識者注目
ドジャースの山本由伸投手は14日(日本時間15日)、ブルワーズとのリーグ優勝決定シリーズ第2戦で完投勝利を挙げた。3安打に終わったブルワーズ打線の敗因について、球界OBは「奇襲をかけられなかった」と分析した。
山本は初回、先頭のチョウリオに初球96.9マイル(約155.9キロ)のフォーシームを本塁打にされる立ち上がりとなったが、以降はテンポよく打者を打ち取り、スコアボードにゼロを並べた。気づけば9回に入り、最後はボーンを三振に仕留めた。9回111球を投げて3安打1失点1四球、7奪三振だった。レギュラーシーズンを含めてメジャー移籍後は初の完投となった。
米放送局MLBネットワークの番組「MLBセントラル」では、元WBC米国代表監督のマーク・デローサ氏が、山本の投球を分析。スプリット、速球、他の変化球すべてが機能していた点に注目した。「ヤマモトはこの試合前までスプリットが決まっていなかった。しかし彼はスプリットを取り戻した」とし、投球内容の進化を指摘。「完投できた理由」を挙げ、複数の球種で効果的にストライクを取り、ゴロを打たせることができた点を高く評価した。
特に印象的だったのは、配球の修正力だったという。デローサ氏は初球のフォーシームで本塁打を打たれたことを挙げ、「各打席の1球目にフォーシームとシンカーを投げるのはほとんどやめた。その代わりにスプリットやカーブ、カットボールを織り交ぜた」と説明。相手は「だから相手は奇襲をかけることはできなかった。この点がおもしろいと思いました」と語った。
スプリットの割合は、ポストシーズン最初の2試合で16.7%だったが、この日は30.6%に増えたことにも言及。「右打者には内角、左打者には外角に決まっていた」と復活を強調。「彼はすべての武器を使えていた」と、ゾーンの使い分けにも触れた。ゴロアウトの数も際立っていた。デローサ氏は「昨日はゴロアウト14。スネルは第1戦で11だった」と比較し、打たせて取る技術を称賛した。
山本は今季レギュラーシーズンで被打率.183、被OPS.539を記録し、ともにメジャー1位。デローサ氏は「誰も彼からヒットは打てなかった」と断言し、「スキーンズ、スクーバルのあとにヤマモトが入る」と現役トップクラスの実力を認めた。レギュラーシーズンで苦しんだミルウォーキーの地で雪辱を果たした右腕は、ポストシーズン完投勝利という日本人初の快挙を達成した。
(Full-Count編集部)