紅林弘太郎の変化を呼んだ“ノート” 怪我で取り入れた習慣「調子の波をどう改善していくか」

6年目に開く新境地、取り入れた振り返りノートと読書
オリックスの紅林弘太郎内野手が、6年目のシーズン途中から野球に対する取り組みを変えて新境地を開いた。
「6月からですね、このままじゃヤバいと思ったんで。好不調の波が激しく、そこに向き合っていかなくてはならないので。子どもが生まれた責任感も、もちろんあります」
紅林は、駿河総合高(静岡)から2019年ドラフト2位でオリックスに入団。強肩強打の大型遊撃手として2年目で開幕スタメンをつかみ、2桁本塁打(10本)を放った。
6年目の今季、右肩痛などで戦列を離れたこともあり、打率は一時、2割3分台まで落ちたが、最終戦で規定打席に到達し2割6分まで盛り返した。「先を見て、いろいろ取り組んでいます。全部を見直して、いろいろ落とし込み、試合にどう生きるかをやっている段階。今までと違う、いろんな収穫があります」と話していたのは8月末のこと。「今までやってきたことが、ちゃんとした目線で見た時に、違う方向にいっていたのでそれを見直すというか、一からちゃんと作り直すところから自分で考えてやってきました」とも語る。
打撃フォームも変わった。お尻を突き出し、やや前かがみで背中を伸ばす。「今までは足の始動から始まっていたのですが、上げるという行為自体、そこは意識してません。どう上げるかというより、タイミングを取りに行く中でどういう動きをするかです」。
常連となった早出特打から、グラウンドにノートを持ち込んだ。打撃フォームでチェックするところなどを、黒や赤のボールペンで書き込み、ティー打撃やゲージに入る前に広げて確認する。ノートは9月末で4冊に増え、「古いノートを見直すこともあります」と話す。
読書を始めたのもその頃からだ。「メンタルがメインの自分を磨く系です。調子の波をどう改善していこうかと考えた時、本をたくさん読む田嶋(大樹投手)さんに聞いて始めました」。1日2ページくらいのペースだが、読むことにより集中力が養える側面もあるそうだ。
「意欲を持って取り組んでくれる選手。2か月くらい前に『ひと皮、もっとむけろ』って言ったんです。そこから結構、打っていますね」と川島慶三1軍打撃コーチは評価する。
クライマックスシリーズ(CS)進出を決める2ラン本塁打を放ち、日本ハムとのCSファーストステージ第2戦では、一時は勝ち越しとなる3ランを放ち「3番」の重責を果たした。逆転負けを喫し下剋上はならなかったが、この悔しさを来季に果たす。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)