横山聖哉が感じた成長「余裕があってこそ」 苦悩の2年目…受け止めた課題「見えてなかった」

横山聖哉がフェニックス・リーグで取り組む新たな試み
オリックスの2年目・横山聖哉内野手が、宮崎県内で開催中の「みやざきフェニックス・リーグ」で伸び伸びとプレーを続けている。「考え過ぎず、伸び伸びとやっています。僕は、気持ちの部分、メンタル的な部分の上下が大きかったので、絶対にそれだけはなくそうと思って取り組んでいます」と笑顔で声を弾ませた。
横山聖は上田西高(長野)から2023年ドラフト1位でオリックスに入団。1メートル81センチ、86キロの大型内野手としてプロ1年目は、5月に1軍昇格を果たし12試合に出場した。
飛躍を期待された2年目は、同期入団の内藤鵬内野手と2軍でクリーンアップを組んだが、下半身のコンディション不良で約20日間戦線離脱。7月20日に1軍選手登録されたが、2試合に出場しただけだった。
「2年目も1年目とあまり変わりませんでした」。成長はしているのだろうが、打率が1年目の.223から.217に落ちた“現実”を受け止めた。1年目は初球から積極的にバットを出し、1打席目での安打も多かった。2年目は高みを目指そうとするあまり考え過ぎたことが不振の原因だった。
選手個々のテーマに沿った打撃が許されているフェニックスでは、首脳陣から結果を問われることはない。「いろんなことにトライしています。いろいろと考えてやるのもいいですが、考えるのは試合が終わってから。試合中は考えないようにしています」と横山聖。表情の明るさは気持ちの変化が大きいようだ。
「打席に入る前に外野手の守備位置も見ることができるようになりました。今まで、全然見えていなかったんです。今は落ち着いて平常心でやっているんで」と、気持ちに余裕も生まれた。
2試合連続して、2死1塁の打席でセーフティーバントを試みた場面があった。「余裕があってこそ、できるんです」という横山聖に、波留敏夫2軍監督は「本来はそういうことをする(役割の)打者ではないんですが、そうやって考えることがいいんです」と目を細める。
「ざっくりといえばポジティブなんですが、ごまかしているとも言えますね」と、笑って現在の心境を語った横山聖。「打てなかったら考えますけど、そんなことを忘れるくらい(いい加減に)やっています。リラックスして野球をやれていますから、楽しいですね」と明かした。
フェニックスでは、スタートからの9試合で2試合を除き安打を放ち、猛打賞も2度記録。打てなかったらという不安から解放され、笑顔とともに本来の打撃を取り戻しつつある。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)