18歳が味わった「天国と地獄」 3位指名に号泣…エースの“絆”で乗り越えた壁

ドラフト指名後、涙を流した健大高崎・佐藤龍月【写真:神吉孝昌】
ドラフト指名後、涙を流した健大高崎・佐藤龍月【写真:神吉孝昌】

トミージョン手術を受けた健大高崎・佐藤龍月はオリックスから3位指名

 指名を受けた瞬間、涙を抑えることができなかった。23日に東京都内で行われた「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で、健大高崎の佐藤龍月(りゅうが)投手がオリックスから3位指名を受けた。その瞬間、会見場は大歓声に包まれ、佐藤は号泣。ロッテから1位指名を受けた石垣元気投手とグータッチを交わした。「こんな高い順位で指名されるとは思ってはいなかった。とてもうれしい」と、喜びをかみしめた。

 小学1年生から野球を始めた佐藤は、直球とスライダーが魅力の左腕。2年生の春には右のエースである石垣とともに選抜優勝に貢献した。「あの大舞台で投げることができた。すごく良い経験でした」。

 しかし、その後に悲劇が襲う。2年の夏に左肘を故障。トミージョン手術を経験した。「普通の高校生では経験することができない、天国と地獄を経験することができました」。リハビリを重ね、3年生の夏には再び、甲子園のマウンドに戻ることができた。

 長いリハビリ生活中、石垣の存在が大きな支えとなった。「つらい時も声をかけてくれました。自分が怪我で投げられないときも学校を代表して、いろんな舞台で投げてくれていたし、それに刺激をもらって、自分もリハビリを頑張ろうと思いました。石垣がいなければ、自分もここまで成長できなかった」。石垣の活躍を刺激とし、困難を乗り越えた。

 さらにずっとサポートを続けてくれた両親にも感謝の言葉を述べた。「本当に一番近くで支えてもらっていたので、恩返しをすることができた。まずは、ありがとうを伝えたいです」。

 オリックスは2021年からパ・リーグを3連覇。背番号18番をつける左のエース、宮城大弥投手を筆頭に投手陣の層は厚い。「まずは真っすぐの切れ、スライダーの切れを見て欲しいです。ここまで本当にたくさんの方に支えてもらったので、プロの舞台でも活躍して全国で愛される選手になりたい」。苦難を乗り越えた18歳のまなざしは、次のステージを見据えていた。

(神吉孝昌 / Takamasa Kanki)

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