カオスだった大谷会見 記者殺到&珍質問連発、自撮りのメディアまで…異様な14分間

前日会見に対応したドジャース・大谷翔平【写真:荒川祐史】
前日会見に対応したドジャース・大谷翔平【写真:荒川祐史】

大谷がワールドシリーズ前日会見に参加、50人のメディア関係者が集結した

 今年もカオスだった。ドジャース・大谷翔平投手のワールドシリーズ前日会見。日米はもちろん、カナダ、中南米のメディアを含めて50人が取り囲んだ。大谷の前には参加選手で唯一、規制線が張られたが、もはや意味なし。記念写真でも撮っていたのだろうか。大谷と映るように自撮りする海外メディアまで出現した。

 オールスター戦やワールドシリーズ前に行われる大谷会見は取材の“場所取り”が何より大事だ。この日はドジャース選手の会見が始まる1時間前から入り口付近に待機。すでにもう10人近くが並んでいた。まだか、まだかと待ったところで、会見場がオープン。だが、大谷の周りにはすでに別の入り口から入ったメディア関係者でごった返していた。

 ここからは記者、カメラマンが恒例の“おしくらまんじゅう”だ。「(2023年の入団交渉で)シュナイダー監督からもらった帽子はありますか?」「うちのガレージに置いてあります、ふふふ」。iPhoneで録音できたのは超小声だったが、なんとか聞き取ることができた。この時ほど日頃から筋トレをしといて良かったと思うことはない。

 シーズン中の囲み取材では長くても10分程度だが、このスタイルの取材はいつもより少し長く話を聞ける。「なんでオレに一番速い球を投げたんですか?」。MLB機構からプレーヤー特派員として取材参加したロイヤルズの大砲パスカンティーノしか聞けない質問が飛べば、「ケンドリック・ラマーとドレイクで一番好きな曲は?」とシーズン中なら絶対に聞かれない質問も。「音楽はあまり詳しくないので。分かんないっすね」。こんな珍質問には大谷も苦笑いを浮かべるしかなかった。

 さて、記者はというと……。ワールドシリーズ前日だったが、ソフトバンクからドラフト1位指名された花巻東の後輩、佐々木麟太郎について質問した。大谷自身も2012年ドラフトで日本ハムか、メジャー挑戦かで進路選択を迷った身だったからだ。

「本当に本人の気持ち次第じゃないかなとは思うので、本人がこうなりたいという道を選ぶのが一番かなと思います。その上で、いろんな人たちのアドバイスがあるとは思いますが、最終的には自分の気持ちっていうのが一番大事かなと思います」。

 仮にもう少し時間があれば、当時のことなどを突っ込んで聞いてみたかったが、大谷に用意された14分間の取材時間では、こんなメッセージを聞くのがやっとだった。

 練習ではフリー打撃を行い、33スイングで14本の柵越えを放った。5階席への推定150メートル弾もあり、右翼席にいた球場スタッフを「あんな打撃練習を見たことはない。まさにユニコーンだ。ブルージェイズに来て欲しかったな」とうならせた。24日(日本時間25日)から今世紀初のワールドシリーズ連覇を目指す戦いが始まる。大谷を取り巻く周囲の熱狂ぶりは今年も去年も変わらない。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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