投手歴3年で驚きのドラ3指名 苦難の連続も…逸材右腕が救われた同級生の“説教”

投手歴3年→ドラフト3位指名「驚き100%」
23日に開催された「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で、創価大からは立石正広内野手が1位で3球団競合の末に阪神から、山崎太陽投手がヤクルトから3位指名を受けた。山崎は「驚き100%です。下位か育成だと思っていた」と話したように、本人は3位での指名に目を丸くした。
山崎の反応も無理はない。193センチの長身から投げおろす最速149キロが魅力の“素材型”だが、投手歴は僅か3年。今春には右肘の疲労骨折もあり、公式戦登板は通算10試合に留まっている。
捕手として帝京第五高から創価大に進学。転機は入学直後に訪れた。ブルペンで投手のボールを受けている山崎の“返球”を見て「そもそも上背があるし、腕の振りが投手向きだった」と、佐藤康弘監督がコンバートを提案。1年夏に投手に転向することとなった。
しかし、順風満帆とは行かなかった。「初めは全く思ったボールが行きませんでした」。慣れないマウンドからの投球で制球に苦悩する日々が続いた。さらに、日本ハムなどでプレーし、プロでの指導経験もある高口隆行コーチは「素質は良いものを持っていたが、野球に取り組む姿勢が良くなかった」と回顧。精神的に未熟だったという。
苦悩していた山崎を救ったのは副主将を務める同級生、新山秀男内野手からの“説教”だった。3年生のシーズンが終わりに差し掛かる頃、「(取り組む)姿勢を変えないと。最上級生になるんだからしっかりしろ」と叱責を受けた。
仲間からの言葉に自分の甘さに気付いた山崎は一気に飛躍を遂げる。今春は課題の制球力も大幅に改善され、6試合登板で防御率1.35を記録。大学選手権大会では自己最速となる149キロを計測し、大学日本代表候補にリストアップされるまでに成長した。
「線も細いので、まずは1年間戦える身体を作りたい」。3位での指名には驚きつつも、右腕は焦らず一歩ずつ、プロの世界でも歩んでいく決意を口にした。
(井上怜音/ Reo Inoue)