山本由伸の「どれくらい?」から“誤差”2秒 完璧な調整…先発にかける驚愕の計画力

山本由伸にもらった“30秒間”
【MLB】ドジャース 5ー1 Bジェイズ(日本時間26日・トロント)
咄嗟の“逆質問”に、本気度の高さを感じ取った。ドジャースの山本由伸投手は25日(日本時間26日)、敵地で行われたブルージェイズとのワールドシリーズ第2戦に先発登板し、9回1失点で完投勝利をマークした。前回登板した14日(同15日)のリーグ優勝決定シリーズ、ブルワーズ戦に続いて2試合連続での完投勝利。渡米後初の2試合連続完投勝利で、シリーズの成績を1勝1敗のタイに戻した。
珍しい切り返しだった。前回登板した14日(同15日)の翌15日(同16日)。本拠地・ドジャースタジアムのクラブハウスで質問をぶつけた。内容は「スネル投手がブラザーと呼んでいる」ことについて。オリックス在籍時の2020年から取材をさせてもらっているが、山本からの返事は意外だった。
「どれくらいかかりますか?」
先発投手のため、できる限りは登板翌日か翌々日に質問を持っていくようにしているのだが、6年目の付き合いで初めての“切り返し”に豆鉄砲を食らった。「30秒ほど……」と伝えると「全然、いいですよ!」と笑顔で返事があった。
そのままスネル投手の話を聞かせてもらうと、音声の録音は28秒。タイムキーパーが必要ない世界線に感心していると、山本はグラブをはめた。「あと2週間ですね。では、練習に行って参ります〜」と、やや砕けた表情で別れを告げられると、こちらは呆気にとられるしかなかった。
聞くところによれば、自宅の出発時間、歯磨きの時間、食事のタイミングなど、1日のスケジュールをきっちりと前日に計画してから行動するタイプ。2試合連続での完投勝利。伝説に名前を刻んだ夜、すでに次なる“野望”に照準を合わせているはずだ。
(真柴健 / Ken Mashiba)