大谷翔平への“徹底マーク”「必ずやられる」 武田一浩氏が語る敵軍の戦略「調子は悪くない」

バットを折られながら右前打マークし4打数1安打
ドジャースの大谷翔平投手は25日(日本時間26日)、敵地で行われたブルージェイズとのワールドシリーズ第2戦に「1番・指名打者」で出場するも4打数1安打。バットを折られながらの右前打1本に終わった。チームは5-1で勝ち、1勝1敗のタイに。27日(同28日)から舞台を本拠地へ移して行われる第3戦以降へ向け、爆発の予兆はあったのだろうか。
「大谷自身の調子は悪くないと思いますが、相手にマークされています。実際にコントロールミスもなく、打てる球がほとんど来なかったと思います」。こう評するのは、現役時代にはNPB通算89勝をマークした右腕で、NHKのMLB中継などで解説を務めている野球評論家・武田一浩氏だ。
この日の相手の先発は、5年連続2桁勝利を続行中の34歳のベテラン右腕ケビン・ガウスマン投手だった。初回の第1打席はストレートを低めに集められ、3球目を打つも左飛に倒れた。
3回の第2打席は、低めのストレート、スプリットを見逃し、カウント1-1となった後、153キロを計測した真ん中高めのボール気味のストレートに手を出し三邪飛。6回の第3打席もガウスマンに対し、外角低めのスプリット、ストレートを見送った後、インハイに投げ込まれた153キロの速球に詰まらされ、三邪飛に終わった。
武田氏は「第2、第3打席はいずれも、外角低めの遠い所でストライクを取られ、内角の厳しいコースのストレートで打ち取られました。なかなかいい投球でした」。仮に武田氏が投手として打者・大谷と対戦するなら、「インコースしか投げません。腕がちょうど伸びるコースに投げたら、必ずやられる気がしますから」と語る。ガウスマンにはしびれる駆け引きの中で、“鉄則”通りの攻めをされたと言える。
リーグ優勝決定シリーズでMVPをかっさらった千両役者
それでも3-1とリードして迎えた8回1死一塁での第4打席では、ブルージェイズ2番手の右腕ルイ・バーランド投手と対戦。初球は内角低めの159キロの速球を果敢に打って出たが、自打球となり、思わず大声を上げた。続く2球目もインローの151キロのチェンジアップにバットを真っ二つに折られながら、しぶとく一、二塁間を破る右前打。チャンスを広げ、貴重な追加点につなげたのだった。
武田氏は「チームとしては、大谷がマークされて打てなくても、周りの打者が打って勝てるなら、それでいい」と言うが、ファンとしてはやはり大谷のバットが火を噴くところを見たいところだ。
ブルワーズとのナ・リーグ優勝決定シリーズでは、第3戦まで11打数2安打5三振と振るわなかったが、第4戦で打っては3本塁打、投げては先発して6回10奪三振無失点という異次元の活躍を演じ、同シリーズMVPをかっさらっていった。
ワールドシリーズの第1戦でも、第3打席まで無安打2三振と沈黙していたが、7回の第4打席に中継ぎ右腕ブレイドン・フィッシャー投手から右翼席へ2ラン。相手にとって一瞬も気を抜けないのが、大谷という打者なのだ。
28日(同29日)の第4戦では“投手・大谷”の先発が予定されている。武田氏は「前回登板も決して調子がよかったわけではありませんが、ブルワーズ打線に付け入る隙を与えませんでした。ブルージェイズ打線に対しても、打たれるイメージは浮かびません」と太鼓判を押す。投打二刀流で臨む第4戦あたりで、またもや世界中の度肝を抜いてみせるのだろうか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)