侍Jに落選…監督の“懸念”も今は昔「絶対に欠かせない」 専門家が実感した凄み

ソフトバンク・周東佑京【写真:古川剛伊】
ソフトバンク・周東佑京【写真:古川剛伊】

ソフトバンク・周東が5安打…野口寿浩氏が状態を解説

 止まらない快音に称賛の嵐だ。ソフトバンク・周東佑京内野手は26日、みずほPayPayドームで行われた阪神とのSMBC日本シリーズ2025第2戦に「2番・中堅」で先発出場。2回に左中間へ適時三塁打を放つなどシリーズ新記録となる1試合5安打をマークし、10-1の大勝に貢献した。

 現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「素晴らしい内容」と絶賛。走攻守の全てが高レベルだと評価した。

 初回にデュプランティエの直球を右前打すると、続く2回も直球を捉えて三塁打。3回は左対左をものともせず、岩貞の外角に逃げていくスライダーを中前に運んだ。5回は左腕・伊原から中前打。7回には湯浅のフォークを左翼線にはじき返して二塁打とした。

「真っすぐも変化球も全て打ち返した打撃は本当に素晴らしい。スライダーもカーブもフォークもやっつけた。特に岩貞からの中前打と湯浅からの二塁打は技ありの一打。もう数年前から、いい内容の打撃を続けて結果を出しています」

 周東といえば球界屈指の俊足のイメージが強い。実際、2019年のプレミア12では侍ジャパンでも大会最多の4盗塁を記録。オーストラリア戦では1点を追う7回に代走で二盗と三盗を決め、セーフティスクイズで同点のホームを踏む活躍で“神走塁”を称えられるなど、足で存在感を示してきた。

課題だった打撃…落選の東京五輪後に開花

 野口氏は当時、侍ジャパンの指揮を執っていた稲葉篤紀監督に2021年に開催された東京五輪にも周東を選出するのか質問したことがあったと振り返る。「その時は『もう少し打ってくれたら文句なしで選べるんだけど』と言っていました」。打撃に課題が残っていた時期。結局、東京五輪には選出されなかったが、五輪翌年の2022年からは打撃成績が安定し、2023年以降は出場試合数を一気に増やした。

 2023年にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表に復帰。メキシコとの準決勝では代走で逆転サヨナラのホームを踏んだのは記憶に新しい。

 守備でも8回には中野の左中間への飛球に快足を飛ばして楽々と捕球するなど貢献。野口氏は「足の状態のことがあって今は外野だけど、基本的には内野手登録。三塁も遊撃も二塁も守れる」とユーティリティぶりも評価する。

 この試合のお立ち台では「打撃で名を刻めるとは思ってなかった」とコメントしたが、野口氏の見方は違う。「今では足だけの選手と言う人は誰もいない。チームに絶対に欠かせない選手です」。打って、守って、走って、チームをけん引するスピードスター。このまま5年ぶりの日本一まで突っ走る。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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