山本由伸が鳴らす“警鐘” 「真似しないで」の真意…見つめるべき自己との対話

山本由伸「僕の決め事は『ストライクゾーンに力強い球を投げる』こと」
【MLB】ドジャース 3ー1 Bジェイズ(日本時間1日・トロント)
世界最高峰の舞台で輝く男は、少年少女たちに夢を与え続けている。ドジャースの山本由伸投手は31日(日本時間11月1日)、敵地で行われたブルージェイズとのワールドシリーズ第6戦に先発登板。6回96球1失点の好投で白星に導き、シリーズの対戦成績を3勝3敗に持ち込んだ。エースの投球で崖っぷちのチームを救い、運命の第7戦へと導いた。
今では見慣れた投球フォームだが、初見の打者からすれば“独特”の投げ方。結果を残せば残すほど投球フォームを“似せる”子どもたちも増えてきた。ある時、尋ねたことがある。すると、冷静な口調で返事が戻ってきた。
「憧れてもらえるのは本当に嬉しいことなんですけど……。“真似”だけはしないでほしいですよね。(フォームを)見たままで同じように投げることはできますけど、それがどういう効果があるのか、特徴をちゃんと考えてほしい。だから、そんな簡単に真似をしてもらいたくはないんですよね。その選手の将来を考えた時のために」
練習で取り入れるジャベリックスロー(やり投げ)も、独自のメニューである。「体の使い方ですね。体の使い方って言っても、その言葉だけでは何のことかわからないと思います。全身を使って投げる、が1番近い言葉かなと。遠くに真っすぐ投げるの、意外と難しいですからね(笑)」。自身が体験して「良い」と感じたものは、すぐに取り入れる。
野球は、マウンドに立つ投手がボールを投げることでスタートするスポーツ。「考え過ぎは良くないんですけどね(笑)。ただ、考えれば考えるほど奥が深いですよね、野球って。その追求を繰り返していく感じ。でも、僕の決め事は『ストライクゾーンに力強い球を投げる』こと。それが原点だと思います」。
正しい方向に努力を続ければ、道は必ず拓ける。「僕にできるってことは、誰にだってチャンスはありますからね」。世界を圧倒するエースになっても謙虚さを忘れず、突き進んでいる。
(真柴健 / Ken Mashiba)