矢場とん→王子→楽天ドラ6に 証明した「クラブチーム出身選手がここまで来られた」

Honda・片山皓心、鷺宮製作所・竹丸和幸、王子・九谷瑠、トヨタ自動車・増居翔太、NTT西日本・成瀬脩人(左から)【写真:パ・リーグインサイト】
Honda・片山皓心、鷺宮製作所・竹丸和幸、王子・九谷瑠、トヨタ自動車・増居翔太、NTT西日本・成瀬脩人(左から)【写真:パ・リーグインサイト】

DeNA4位・片山は初戦先発、3度得点圏に走者を背負うも5回無失点

 10月28日から、京セラドームにて「第50回社会人野球日本選手権大会」が開催されている。1974年の第1回から今年で50回を数え、節目を迎える本大会。同23日の「2025 プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」でNPB球団から指名を受けた選手では、8選手が出場。27日に行われた開幕前記者会見には5選手が登壇し、翌日から始まる大会への意気込みを語った。

 今年の都市対抗野球大会で優勝を飾り、今大会への出場権を得た王子。その優勝に貢献し、最優秀選手賞にあたる「橋戸賞」を受賞したのが、楽天から6位指名を受けた九谷瑠投手だ。クラブチームの矢場とんブースターズから今年王子に入社し、1年目にして投手陣の軸に。今夏は先発・リリーフをこなし、4試合で3勝、防御率1.96の好成績を収めた。「橋戸賞というというアマチュア選手なら誰もが目標にする賞を獲れたのは誇らしいことだなと思っています。『クラブチーム出身の選手がここまで来られた』というのを自分が証明できたつもり」と自負する。

 今大会の舞台・京セラドームは、同じパ・リーグの本拠地として、来季以降何度も登板するであろう場所。マウンドに上がるのは初めてだというが、「都市対抗のときも東京ドームで投げるのは初めてでしたが、練習のときから投げやすいマウンドだと思いました。京セラドームも良いマウンドだとチームメイトから聞いているので、(都市対抗野球大会の)東京ドームのときみたいな良いパフォーマンスができたら」と、プロ入り前最初で最後の同球場での登板に向けて気合を入れた。

「調子にかかわらず試合をつくれるところがセールスポイントなので、今大会もそれを継続できるようにやっていきたい」と話したのは、巨人から1位指名を受けた竹丸和幸投手(鷺宮製作所)。九谷同様、京セラドームでの登板は初となるが「感触をしっかり確かめながら、なんとかチームが勝てるように投げていきたい」と力を込めると、大会1日目の28日に迎えた初戦に先発し、6回1/3を8安打5奪三振1失点と粘投した。

ロッテ7位の田中は投打二刀流から今季投手に専念して最速157キロを計測

 同じく28日の初戦に登板したDeNA4位指名の片山皓心投手(Honda)。会見で「自分が登板するのであれば、ゼロをつけるということにこだわっていきたい」と話したように、3度得点圏に走者を背負いながらも、5回を無失点に抑えた。直球を軸に変化球を織り交ぜ、三振の山を築くのがスタイル。次回の登板では奪三振ショーにも期待だ。片山と来季からチームメイトとなるDeNA5位指名の成瀬脩人内野手(NTT西日本)は「肩を生かした広い守備範囲と、ここぞの場面での勝負強い打撃を発揮したいです。個人としては社会人野球の最後の大会になるので、なんとかNTT西日本さんに結果で恩返しができるように」と、感謝を胸にプレーする。

 さらに「増居投手とは何度か対戦したことはありますが、まだ打ったことはないので、対戦することがあれば次は絶対に打ちたいなと思います」と、前年最高殊勲選手(MVP)に輝いたヤクルト4位指名の増居翔太投手(トヨタ自動車)との対戦を待ち望んだ。すると、その増居は「今こうして名前を挙げてもらいましたし、好打者だというのはもちろん知っているので、成瀬選手と対戦できればいいなと思います。“絶対に打ってやる”ということなので、絶対に抑えられるように頑張りたいと思います」と応戦。チームは連覇がかかるなか、個人としてもMVPを獲得した前年同様の活躍を誓った。

 ロッテから7位指名を受けた田中大聖投手が所属するHonda鈴鹿は、大会4日目の11月4日第2試合でJR西日本と対戦する。投打二刀流から投手に専念した今年、自己最速157キロを計測。球団スカウトもそのストレートを最大の武器と評価し、将来のクローザー候補として見込んでいる。その片鱗を見せつけられるか。同日の第3試合には、西武から6位指名を受けた川田悠慎外野手所属の四国銀行が、トヨタ自動車と相まみえる。俊足が武器で、内外野を守れるユーティリティー性も備え、四国銀行から54年ぶりのプロ入りを勝ち取った。走攻守に躍動する姿に期待したい。

 同一年での2大大会制覇を狙う、九谷擁する王子は大会5日目の5日第2試合に登場。日本製鉄山口との一戦に臨む。なお、王子がこの試合に勝利し、4日第1試合でNTT東日本が勝ち上がった場合、日本ハム・石井一成選手の弟でヤクルトから6位指名を受けた石井巧内野手との対決が実現するかもしれない。彼らにとっては、プロ入り前最後の大会となる社会人野球日本選手権大会。「年間王座」を目指し、全力プレーで挑む姿に注目だ。

(「パ・リーグインサイト」高橋優奈)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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