オリ2年目・寿賀弘都の進化 8.10→1.12で目指す支配下…引退する「大江さんの分まで」

5歳年上の大江海透の引退には「驚きました」
オリックスの育成2年目左腕の寿賀弘都投手が、クセ球を生かすため習得した新球種で投球の幅を広げている。同期入団でオフに引退した5歳年上の大江海透投手のためにも、支配下の目標を実現させる。
「大江さんにはマウンドでの入り方やピンチの時の考え方など、いろいろ教えていただきました。(引退を)聞いた時には驚きました。大江さんの分まで頑張ろうと思います」。秋季練習で汗を流す寿賀が前を見据えた。
寿賀は英明高(香川)から2023年育成ドラフト1位でオリックスに入団。中学時代には当時捕手で、ドラフト1位で巨人に入団した浅野翔吾外野手とバッテリーを組み、英明高3年時に春夏連続で甲子園出場を果たした。ストレートにスライダー、カーブ、チェンジアップを操る技巧派が、今季、身につけたのが「真っスラ」。ストレートと同じような軌道から右打者の手元でスライドするクセ球で、村上喬一朗捕手によると「サインは真っ直ぐなのですが、スライダーのつもりで構えています。相手打者はスライダーだと思っているようです。特に左打者には有効で、三振も結構、取れるんです」と明かす。
2年目はウエスタン・リーグで7試合に登板。そのクセ球を武器に、防御率は1年目の8.10から1.12と大きく改善した。「みやざきフェニックス・リーグ」からは、新球種のツーシームも加わった。5試合に登板し5回2/3で被安打3、4奪三振、2失点。「塁さん(牧野塁2軍投手コーチ)から教わって試したのですが、バッターの反応もよくて結構、使えると思いました」と笑顔で振り返る寿賀。ツーシームを習得したことで、横の投球の幅が広がり「真っスラ」もさらに威力を増したという。
寿賀が目指す投手は、同じ左腕の大江投手だという。「横で投げているのを見ていて、すごく再現性もあるし調子の悪い日があるのかと思うくらい。ストライクも簡単に取るし、入り方もうまいんです。球速もあって僕とタイプは違うのですが、クイックで投げるようになったのも『こっちの方が投げやすいよ』と教えてくれた大江さんのおかげです」と言い切る。
11月中旬からは約1か月、参加する予定の「JAPAN WINTER LEAGUE」(沖縄)で2つの武器をさらに磨き、大江の果たせなかった支配下を目指す。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)