WBCを「寮で毎日見ていた」 侍・井端監督の秘蔵っ子…大抜擢で「あの舞台に立ちたい」

広島との強化試合に出場した侍ジャパン・西川史礁【写真:宮脇広久】
広島との強化試合に出場した侍ジャパン・西川史礁【写真:宮脇広久】

プロ1年目は規定打席を際どくクリアし打率.281をマークした

 野球日本代表「侍ジャパン」を率いる井端弘和監督の秘蔵っ子といえるのが、ロッテでプロ1年目のシーズンを終えた西川史礁(みしょう)外野手だ。12日まで宮崎強化合宿に参加し、15、16日に東京ドームで行われる「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本 vs 韓国」に出場する。

 10日の広島との練習試合には「6番・左翼」でフル出場。9回2死満塁の好機に最後の6打席目を迎え、中前への自身初安打が2点タイムリーとなった。ロッテは10月5日にパ・リーグ最下位で今季全日程を終了しており、実戦から離れていたが、「6打席に立って感覚が戻ってきました。練習でも打撃の確実性が上がり、よくなってきている実感があります。韓国戦に向けて、もっと上げていきたいです」と力を込めた。

 青学大時代の昨年3月、井端監督に見いだされ、「日本 vs 欧州代表」を戦う侍ジャパン・トップチームに、金丸夢斗投手(当時関大、現中日)、中村優斗投手(当時愛工大、現ヤクルト)、宗山塁内野手(当時明大、現楽天)とともに学生で異例の抜擢を受けた。西川は2試合で7打数3安打1打点(打率.429)と活躍し、初球からフルスイングできる思い切りのいい打撃がファンの心に強烈なインパクトを残したのだった。

 同年ドラフト1位でロッテに入団すると、プロ1年目の今季、444打席で規定打席(443以上)を際どくクリア。打率.281(リーグ6位)、3本塁打37打点をマークした。

 そして西川は、知名度アップの原点となった侍ジャパンに戻ってきた。「プロ1年目で呼ばれるとは思っていませんでした。周りがトップレベルの方々ばかりで、勉強させていただいています」と殊勝に語る通り、同じ右打ちの阪神・森下翔太外野手らに、積極果敢にアドバイスを求める姿が目を引いている。

目を細める井端監督「争える若手の数が多いのはいいこと」

 現役時代に侍ジャパンのリーダー格だった松田宣浩野手総合コーチは「この期間をモノにしたい、いろいろな人に話を聞いて、ヒントを得てやろうという強い思いが伝わってきます」と、西川の貪欲さを高く評価。「若い選手にとっては生きる教材を目の前で見られて、アドバイスまでしてもらえるのだから、最高じゃないですか」と笑った。

「前回の2023年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は、大学の寮で毎日見ていました。あの舞台に立ちたいという思いは強いです」と、来年3月のWBCメンバー入りに意欲をたぎらせる西川。もっとも、圧倒的な実績を誇りながら今回の合宿に参加していないメジャーリーガー、NPB所属の中堅・若手も数多く、競争は極めて激しい。西川としては千載一遇のチャンスとなる韓国戦で、猛アピールしておきたいところだ。

 井端監督は「どういう結果になるかはわからないですが、このレベルで争える若手の数が多いのは、いいことだと思います。日本の選手層が厚くなる。今回だけでなく、それ以降のことも踏まえて考えると、いい方向へ動いていると思います」と目を細める。

 西川が今後長く侍ジャパンで活躍していく中で、まだほんの序章に過ぎないのかもしれない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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