話題呼ぶピッチクロック 打者に影響も「対応は間に合う」…専門家が見る“攻略”のカギ

韓国との強化試合に勝利した侍ジャパンナイン【写真:小林靖】
韓国との強化試合に勝利した侍ジャパンナイン【写真:小林靖】

新井宏昌氏が解説、ピッチクロック&ピッチコム対策

 新ルールへの対応は、そこまで心配する必要はない――。野球日本代表「侍ジャパン」は15日、「ラグザス 侍ジャパンシリーズ 2025 日本 vs 韓国」に11-4で快勝。来年3月に開催される第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に合わせてピッチクロック、ピッチコムの使用が採用された。

 投手と打者の両方に時間制限があるピッチクロックは、メジャーリーグでは既に導入されている。現役時代に通算2038安打を放ち、引退後はオリックス、広島などで指導力を発揮した野球評論家・新井宏昌氏は「最近の選手はメジャーリーグもよく見ている。そんなに戸惑わないのではないでしょうか」と推測した。

 ピッチクロックは、投手は球を受け取ってから走者なしの場合は15秒以内、走者がいる場合は18秒以内に投球動作を開始しなければ1ボールが宣告される。打者も制限時間が残り8秒となる前に、打撃姿勢を取らなければならない。

 新井氏は打者目線で「そんなに時間をかけずに打席に入れる。打席に向かう前に、考えをまとめておけば問題はない」と説明。それでも対戦中に思考を巡らせる必要が生じることもある。その場合の対策として「もしも迷いが生じたり、一呼吸置きたくなった場合は、2ストライク後にタイムをかければいい」と提案した。

ピッチコムは「捕手がポイント」

 打者は1打席で1度だけ、タイムを取ることができる。打席に向かうまでに、ある程度は狙い球などの考えをまとめておいて対応しつつ、想定外のことが起きた場合は2ストライク後にタイムをかけて問題を解消すればいいというのである。

 ドジャース・大谷翔平投手を引き合いに「大谷も2ストライク後にタイムを取って打席を外すことがあります。ルールで認められているので、踏ん切りをつけるためにタイムをかければいいんです」と強調。4度目のMVPを獲得したスーパースターのスタイルが参考になると説明し「打者はそんなに心配しなくていいと思います」と続けた。

 バッテリー間で、捕手がサインを出す代わりに、送信機のボタンを操作して球種、コースなどを伝達するピッチコム。メジャーリーグではおなじみの機器については「捕手がポイントだと思います」と話す。「スイッチを押すタイミングや、投手と意見が合わない時、次の動作をいかに早くできるかが鍵になります」と解説した。

 それでも「常に頭に入れながら練習しているはず。まだ本番まで時間はあります。対応は間に合うと思います」と、こちらも心配がないことを強調。侍ジャパンにとって新しいルールも、WBC連覇への壁にはならないはずだ。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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