MLB戦士“不在”の重要ポジション 「現状は森下がベスト」も…専門家が挙げた意外な候補

日韓戦でレフトの西川と接触、5回からライトの五十幡と守備位置交換
“センター問題”が連覇の鍵になりそうだ。来年3月にWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)を控える野球日本代表「侍ジャパン」は16日、「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本 vs 韓国」第2戦を7-7で引き分け、1勝1分けでシリーズを終えた。
この日の第2戦に「3番・中堅」で先発したのは、阪神・森下翔太外野手だった。2回の守備では、先頭打者の左中間のフライを捕球した際、レフトのロッテ・西川史礁外野手と軽く接触するシーンがあった。5回からはライトの日本ハム・五十幡亮汰外野手と守備位置を入れ替えた。
現役時代に通算2038安打を放ち、引退後もオリックス、広島などで名コーチとして鳴らした野球評論家・新井宏昌氏は「来年3月のWBCでも、センターは現状で森下がベストかもしれませんが、日本人メジャーリーガーにセンターを本職とする選手は見当たらないだけに、考えどころですね」と指摘する。
2023年の前回(第5回)WBCで侍ジャパンのセンターを守り優勝に貢献したカージナルスのラーズ・ヌートバー外野手は、10月に両足のかかとを手術し招集が絶望的となっている。一方、勝負強い打撃などで阪神のリーグ優勝の原動力の1人となった森下は今季、“本職”の右翼で114試合、左翼で25試合、指名打者で1試合に出場。センターはプロ3年間で、1年目の2023年に6試合守っただけだ。
新井氏は「ソフトバンクの周東(佑京内野手)が前回WBCの準決勝・メキシコ戦で、(ヤクルトの)村上(宗隆内野手)が逆転サヨナラ二塁打を放った際、一塁から快足を飛ばしてホームを奪ったシーンは記憶に鮮明です」と言及。「周東はWBC経験者だけに、打撃に大きな期待はできないかもしれませんが、打順は8番か9番で、スタメンのセンターを任せる手はあると思います」とうなずく。周東は今季、3年連続4度目の盗塁王に輝いた上、打率も規定打席には13打席足りなかったが、自己最高の.286をマークした。
東京五輪でセンターを守った柳田が日本シリーズで“復活”
2021年の夏に行われた東京五輪で、侍ジャパンのセンターを守ったのはソフトバンク・柳田悠岐外野手だった。新井氏は「最近は故障が多い柳田ですが、日本シリーズでホームランを打って優秀選手賞を獲得しましたし(打率.455、1本塁打2打点)、彼がWBCのメンバーに加わる可能性もゼロではないでしょう」と期待する。ただ、センターはソフトバンクでは2021年を最後に、最近4年間守っていない事情がある。
そのソフトバンクでは今季、打率.304で首位打者を獲得した牧原大成内野手が、主に二塁を守りながら、センターでも17試合スタメン出場。前回WBCに追加招集され、センターも守った選手である。
15日に行われた日韓戦の第1戦に「1番・中堅」で先発した中日・岡林勇希外野手は5打数無安打1死球。新井氏は「日本国内では走攻守のバランスが高いレベルで取れている選手ですが、パワーのある外国の選手が相手となると、いまひとつインパクトがないですね」と評する。第1、第2戦とも途中からセンターを守った五十幡についても「強烈な足を持っていますが、打撃が弱い」と見る。
守備でセンターラインを誰が締めるのかは、チームにとって非常に重要な問題だ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)