ベッツ放出がもたらした“悪夢” 明暗分けた567億円…際立つド軍フロントとの違い

2020年2月にベッツは移籍…ドジャースは3度の世界一
あらゆるスポーツにおいて、選手の移籍は日常茶飯事に起こり得るもの。それでも、チームの顔と言えるスター選手の移籍はファンにも大きな影響を与える。米スポーツ専門メディア「ブリーチャー・レポート」は「スポーツにおける史上最悪の裏切り行為トップ30」としてランキングを作成。8位に選ばれたのは、レッドソックスからドジャースに移籍したムーキー・ベッツ内野手だった。
ベッツはメジャーデビュー後からレッドソックスの中心選手となり、2018年には首位打者に加えて「トリプルスリー」を達成。世界一の原動力となった。しかし、FAが迫る中で球団は2020年2月、アレックス・ベルドゥーゴ外野手、ジーター・ダウンズ内野手、コナー・ウォン捕手という有望株とのトレードで、当時“不良債権化”していたデビッド・プライス投手と共にベッツをドジャースへ放出した。
その後の結果は明暗分かれるものになった。ドジャースはベッツ加入1年目に短縮シーズンとはいえワールドシリーズを制覇。そして2024・2025年も頂点に立ち、まさに栄華を極めている。一方でレッドソックスは地区優勝なし、地区最下位を3度と厳しい時期を過ごしている。
記事では「裏切った者:レッドソックスのフロント 裏切られた者:レッドソックスのファン」として紹介。「ベッツ放出は『将来の面倒ごとを回避するため』」と語られた。「レッドソックスはすでに多額の贅沢税負担に直面しており、さらに多くの不良契約を抱えていた。少なくとも球団上層部の説明はそうだった」と振り返る。
ベッツはドジャース移籍後に12年総額3億6500万ドル(約567億円)で延長契約を結んだが、レッドソックスのトム・ワーナー会長は12年契約は到底受け入れられないと話していたとされる。「限界や方針について語った」レッドソックスに対し、「可能性」について熱弁したドジャースとの違いを指摘し、「ベッツが彼らのために1イニングもプレーする前に、ドジャースは躊躇することなく12年3億6500万ドルの契約で彼を確保した」。
「ロサンゼルスは2020年の彼との契約でコスト(とリスク)を飲み込んだ。そして、ベッツが周囲のすべてを引き上げていく様を見守った。一方で、ボストンは、手放したスターがロサンゼルスで3度の栄冠をつかみ、今後さらなる覇権を狙う姿を、ただ傍観するしかなかった」と両者の対比を挙げ、ベッツの移籍を8位に位置づけている。ちなみに、1位にはレッドソックスが財政難でヤンキースに放出したベーブ・ルースが選ばれている。
(Full-Count編集部)