波留敏夫新ヘッドが地元で野球教室 20年前に抱いた危機感…プロ6人輩出「夢を与えられる場所に」

地元京都で野球教室を開催したオリックス・波留敏夫ヘッドコーチ(左)と元阪神・桧山進次郎氏【写真:北野正樹】
地元京都で野球教室を開催したオリックス・波留敏夫ヘッドコーチ(左)と元阪神・桧山進次郎氏【写真:北野正樹】

元阪神・桧山進次郎さんと京都で少年野球教室を開催

 オリックスの波留敏夫新ヘッドコーチが、元阪神の桧山進次郎さんと地元・京都の野球を盛り上げるために開いている少年野球教室が、7日にわかさスタジアム京都で開かれた。今秋のドラフト会議で巨人から2位指名された田和廉投手(早大)ら6人のプロ選手を送り出すなど、「ハマの切り込み隊長」と「代打の神様」のタッグで始まった約20年間の活動が、大きな広がりをみせている。

「野球人口も減っていますし、プロ野球人気を高め、京都のいい選手がプロ野球界に入ってほしいのと、そういう夢を与えられる場所になったらいいなと思ってやっています」。波留ヘッドがイベントに込めた思いを熱く語った。

 波留ヘッドは京都市出身。大谷高、熊谷組から1993年ドラフト2位で横浜に入団。「マシンガン打線」と呼ばれた中距離打者主体のチームで、石井琢朗さん(来季から巨人2軍監督)と「1、2番」を組み、1998年にはリーグ優勝、日本一に貢献した。現役引退後は、横浜、DeNA、中日で打撃コーチなどを歴任。2023年からオリックスの育成チーフコーチ、今季から2軍監督を務め、オフに1軍ヘッドに就任した。

 少年野球との関わりは、現役を終わる頃から。知人の要請を受け、地元の少年野球を盛り上げる大会を、大谷高野球部の同級生で、住宅基礎工事会社「ベースホームヤマモト」の山本剛久社長の協力で立ち上げたのがきっかけだった。数年後には、平安高(現龍谷大平安)出身の桧山さんも加わり「アスリートワールド 学童野球教室」がスタート。桧山さんは、東洋大から1991年ドラフト4位で阪神に入団。4番打者として活躍し、2006年からは代打でも存在感を示した。

 コロナ禍の影響で3年間の休止期間もあったが、今回で17回目を迎えたイベントには、約20チームから約400人の少年少女が参加。プロ側からは京都出身者だけでなく、趣旨に賛同した与田剛さん(元中日監督)や阿波野秀幸さん(前巨人投手コーチ)、入来祐作さん(DeNA投手コーチ)、川端慎吾さん(ヤクルトコーチ)らのほか、佛教大出身の中日・大野雄大投手や楽天・田中貴也捕手ら現役選手を含む25人が参加し、子どもたちを指導した。

 約20年間の活動で、楽天・石原彪捕手、西武・長谷川信哉外野手、DeNA・松尾汐恩捕手、日本ハム・安西叶翔投手、ヤクルト・西村瑠伊斗内野手がプロ入り。今秋のドラフトでは田和が巨人から2位指名された。プロ入り後、9年連続して参加している石原は「ただ単に野球が好きでがむしゃらにやっていましたが、桧山さんがライトにホームランを打ったのを見て、プロはすごいなと思ったのが印象としてすごく残りました。京都の野球人口も減っているようなので、恩返しにもなりますし、子どもたちと触れ合えていい経験になります」と声を弾ませた。

 5時間以上マイクを握って子どもたちを励まし、バットを振って実演するなど動き通した桧山さんは「選手の代表の挨拶で『3つの感謝』という言葉を聞いて泣きそうになりました。こちらが教えているというより、僕らが勉強になるんです。今年56歳ですけど年齢関係なく、お互いに勉強できて子どもたちに感謝です。いつまでも続けていきたい」と感激した口調で、イベントの継続を約束していた。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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