大谷翔平から快音男がWBC参戦 WSでの奮闘“再び”でブラジルに悲願の初勝利を

BジェイズからFAとなったボー・ビシェット【写真:ロイター】
BジェイズからFAとなったボー・ビシェット【写真:ロイター】

2013年以来2度目のWBC本戦出場、カルデイロGM「大きな出来事」

 来年3月に開催される第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。本戦スタートまで約3か月となった9日(日本時間10日)、MLBウインターミーティングの会場に参加20チームのうち、キューバを除く19チームの監督、GMらが集まり、メディアとの質疑応答を行った。今年3月の予選を勝ち抜き、最終20番目の出場枠を手にしたのが、ブラジルだ。

 これまでブラジルがWBC本戦出場を果たしたのは、2013年の第3回大会のみ。福岡での1次ラウンドでは日本、キューバ、中国と同組になり、3戦3敗で敗退した。当時のメンバーには元ホワイトソックス右腕のアンドレ・リエンゾや、元ヤクルトの松元ユウイチ(現ヤクルト・ヘッドコーチ)、金伏ウーゴらが名を連ねた。

 今年3月のWBC最終予選では、松元が監督、リエンゾが投手コーチを務め、西武のボー・タカハシ投手が出場。決勝でドイツに勝利し、3大会ぶり2度目の本戦出場を決めた。ブラジルは言わずもがなのサッカー大国。野球は日本人コミュニティから広がった。「サンパウロに移住してきた日本人が遊びで野球を始めたことがきっかけです」と説明するのは、代表チームでコーディネーターを務める日系のエステバオ・サトウ氏だ。サンパウロでは野球の競技人口が多く、MLBもアカデミーを開校している。
 
 2013年には代表投手コーチを務め、現在はGM職に就くチアゴ・カルデイロ氏は、今回のWBC本戦出場は「少しずつ拡大しつつあるブラジル野球界にとって大きな出来事」と話す。その中でも、3月6日に予定される米国との初戦は「本当に、本当に重要な一戦。世界中が注目すると思うので」と目を輝かせる。

 ブラジルは1次ラウンドでプールBとなり、米国、メキシコ、イタリア、イギリスと対戦。ここで目指すのが、悲願の本戦初勝利だ。記念すべき1勝に向けて大きなカギを握るのが、現在ブルージェイズからFAとなったボー・ビシェット内野手だ。元メジャー選手の父は米国人だが、母はブラジル人。兄のダンテとともに、2017年の第4回大会予選に出場した男は、今回もいち早く参戦を表明している。ワールドシリーズ第7戦では、ドジャースの大谷翔平投手から3ランを放つなど、勝負強い打撃が魅力的だ。

 カルデイロGMは「ブラジルのためにプレーしたいと熱望してくれている。彼が加われば大きな戦力」と期待。FA市場の動きとビシェットの去就を注視している。ブラジル代表ではその他、元レッドソックスで通算555本塁打を誇るマニー・ラミレス氏の息子、ルーカス・ラミレス外野手が出場予定だという。元MLB捕手のヤン・ゴームス氏もコーチとして参加する方向だ。日本からの移民が始めた遊びからスタートしたブラジル野球。さらなる飛躍を遂げるための1勝を期待したい。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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