逸材“ドラ1”が残した「44.6」の課題 26年ぶりの快挙も…数値が証明した苦手

楽天・宗山塁【写真:栗木一考】
楽天・宗山塁【写真:栗木一考】

直球対応で示した即戦力の証明

 2024年のアマチュア球界No.1野手と称され、ドラフト1位で楽天に入団した宗山塁は、プロ1年目から存在感を放った。開幕から5試合連続安打を記録し、序盤から打線に欠かせない存在となった。5月、6月は一時的に調子を落としたが、7月に月間打率.304と復調し、シーズンを通して安定した数字を残した。

 最終的には122試合に出場し打率.260を記録。新人では26年ぶりとなるベストナインを受賞した。ショートという守備負担の大きいポジションを担いながら、打撃でも即戦力の期待に応えた点は評価が高い。

 直球への対応力は、シーズン後半にかけて大きく向上した。前半戦は150キロ以上の速球に苦戦したが、後半戦は打率を上げ、全体でも高水準の成績を残した。ストレートに対するフライ割合もリーグ平均を上回り、1年目から球速に力負けしない打撃内容を示した。

 一方で、変化球への対応には明確な課題が残った。シーズン通算の変化球打率は.249と、直球に比べると苦戦が目立った。変化球に対するボールゾーンスイング率は44.6%で、リーグ平均の37.1%を大きく上回る。打ちにくいボール球にも反応してしまう傾向が数字に表れている。

 期間別に見ると、後半戦はボールゾーンのスイングがさらに増加し、ストライクゾーン内でのスイングは減少した。対戦が進むにつれて相手バッテリーの攻めが厳しくなり、対応に迷う打席が増えたことが背景にある。

 ただし、ストライクゾーン内でスイングをかけた際の成績は良好である。コンタクト率、打率、長打率はいずれもリーグ平均を上回り、4月16日のソフトバンク戦で放ったプロ初本塁打を含め、今季の3本塁打はいずれもゾーン内の変化球を捉えたものだった。ボール球の見極めが改善されれば、打撃成績のさらなる向上は十分に見込める。

 怪我なくシーズンを完走し、攻守両面で経験を積んだ1年目は大きな財産となった。秋季キャンプでは理想の打者像としてソフトバンクの近藤健介外野手を挙げ、フルイニング出場を目標に掲げた。直球対応で示した適応力と、変化球克服という明確なテーマを胸に、来季のさらなる成長が期待される。

(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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