森友哉や頓宮裕真らも賛同 希少がんと闘う親友のため…ひろがる支援の輪、誓う二人三脚

オリックス・森友哉、今中康仁さん、福森大翔さん(左から)【写真:北野正樹】
オリックス・森友哉、今中康仁さん、福森大翔さん(左から)【写真:北野正樹】

森友哉とともに甲子園で活躍した福森大翔(ひろと)さん

 大阪桐蔭高野球部OBで不動産業「SENSE TRUST(センス・トラスト)」(大阪市)社長の今中康仁氏が「野球が繋いだ感動の絆」のタイトルでトークショーを開催した。希少がんと闘う同OBの福森大翔(ひろと)さんを応援することを目的としており、OBでオリックスの森友哉捕手らが参加し健康の大切さと病気への理解を呼び掛けた。

 福森さんは2013年に大阪桐蔭高が「春夏春連覇」を目指した時の主力選手で、同級生に森、1学年上に藤浪晋太郎投手(DeNA)がいる。2013年夏の甲子園2回戦の日川戦(山梨)で3-3の延長10回1死一、三塁でサヨナラ打を放つなど、勝負強い外野手として活躍。大学卒業後は大手ハウスメーカーに勤務していたが、約4年前に10万人に1人と言われる希少がんを発症し、抗がん剤治療で治癒を目指している。

 後輩の窮状を知った今中さんは、今年6月に自身がスポンサードするオリックスの巨人戦(京セラドーム)に福森さんを招き、森とバッテリーを組んだ特別始球式を行った。今中さんは高校1年の3月、父・憲司さんを59歳で亡くしており、がんに対する憎しみとともにがんに打ち勝つ世の中になってほしいという思いから支援を迷わなかった。

 イベントには大阪桐蔭高OBの香月一也内野手のほか、頓宮裕真捕手も参加。全日本吹奏楽コンクールや全日本マーチングコンテスト全国大会で「金賞」を計11度受賞した名門、同高吹奏楽部(梅田隆司総監督)も趣旨に賛同し、170人を超える部員が甲子園でおなじみの応援歌などの生演奏を披露した。

 福森さんは「病気と闘っていますが、毎日当たり前のように明日がくるとは思わずに日々を過ごしています。みなさんも素敵な時間を大切に生きていってほしいと思います」と集まったファンに健康の大切さを呼び掛け、森も「今年はちょっと残念なシーズンになってしまいましたが、来シーズンは大翔と一緒に頑張って必ず活躍します」と復活を誓った。

鐘を鳴らす今中康仁さん(右)と糸井嘉男氏【写真提供:SENSE TRUST】
鐘を鳴らす今中康仁さん(右)と糸井嘉男氏【写真提供:SENSE TRUST】

今中さんの不動産会社は12月26日に東京証券取引所に上場

 今中さんは、自分の基礎を築いてくれた野球界への恩返しのため、京セラドーム内に広告看板を掲示。森や香月、池田陵真外野手ら同校OBが所属するオリックスを支援し、毎年6月には「SENSE TRUST DAY」と銘打つ試合を開催してきた。今回のトークショーは、逆境を乗り越え夢を追い続ける人々のストーリーを通して「夢」を持ち続け、共有し感動し合える世界を作ることを目的としており、6月の始球式で多く人々に感動を与えた「物語」の続きでもあった。

 イベントから4日後の12月26日には、今中さんの「夢」も実現した。東京証券取引所の「TOKYO PRO Maket」に株式を新規上場。同社アンバサダーで元オリックスの糸井嘉男さんが上場セレモニーで鐘を5回鳴らす打鐘を行い上場を宣言した。今中さんは「上場は通過点。まだ7期目のベンチャー企業なのでしっかりと信用力をつけて、日本をピースフルな社会にしていきたい。野球が僕の人生のど真ん中。これからもオリックスと福森さんも支援していきます」と語った。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY