メジャー164発の大砲加入&ベテラン復帰で“大渋滞” 崖っぷちのドラ1に訪れた試練

サノ、阿部、知野ら新戦力で激戦区と化す内野陣
長く続くBクラス、貧打解消へ今オフも補強が進められている。2025年は打率、得点、本塁打でリーグ最低を記録。課題を解消するべく、来季へ向けて本拠地に「ホームランウイング」の新設が決定。その恩恵を最大限に生かすべく、大砲候補の新助っ人も獲得した。ここでは、そんな補強で起こりうる影響を考えていく。
正式発表はまだだが、メジャー通算164本塁打を誇るミゲル・サノ内野手が加入する見通し。2019年に34本塁打を放った実績を持つ大砲は、ドミニカ共和国ウインターリーグでもOPS1.039と復活をアピール。加えて、かつてのチームの主力だった阿部寿樹内野手が復帰し、現役ドラフトでは知野直人内野手も加わった。一塁と三塁を中心に内野陣は“大渋滞”の様相を呈している。
この超積極的な補強により、最もあおりを受ける形となったのが、2025年に悔しいシーズンを送った内野手たちだ。その筆頭が石川昂弥内野手だろう。2025年は井上監督から開幕4番を託されたが、極度の不振で4月12日に出場選手登録を抹消。その後も再登録と抹消を繰り返し、シーズン終盤には左脇腹痛で離脱した。結局22試合で打率.139、1本塁打、5打点。2024年に見せた飛躍の兆しは影を潜め、期待を大きく裏切る結果となった。同じ長距離砲タイプのサノや、勝負強い阿部の加入は、更なる競争の激化を生む。
高橋周平内野手も安泰ではない。2025年は春季キャンプでの右手負傷で出遅れると、復帰後も6月に脱臼などで長期離脱。41試合の出場で本塁打ゼロに終わった。また、2024年に打率.306をマークしレギュラー定着目前だった福永裕基内野手も、2025年は相次ぐ故障に泣き、わずか20試合の出場にとどまった。石川昂を含めたこの3人は、本来ならチームの軸となるべき存在だが、万全の状態を取り戻せなければ、来季はベンチすら確約されない厳しい立場に追い込まれている。
あおりを受けるのは野手だけではない。投手陣ではFA流出が懸念された柳裕也投手、松葉貴大投手が残留し、カイル・マラー投手も契約延長。ドラフトでは中西聖輝投手、櫻井頼之介投手。新助っ人にアルベルト・アブレウ投手も加入した。ローテーションの枠が埋まる中、正念場を迎えるのが仲地礼亜投手だ。2022年ドラフト1位で入団も、3年目の2025年は初登板で危険球退場となり、1軍登板はその1試合のみ。2軍ではファーム選手権MVPに輝くなど力は見せているが、層の厚くなった1軍投手陣に割って入るには、圧倒的な結果が求められる。
高橋宏斗投手、金丸夢斗投手ら強力な先発陣に加え、野手陣も大型補強で競争が激化。本拠地の改修とともに生まれ変わろうとするチームの中で、意地を見せられるか。2026年、新生ドラゴンズの定位置争いは、これまで以上に過酷なものになりそうだ。
(Full-Count編集部)