村上らに相次ぐ短期契約のなぜ 専門家が指摘する不良債権への恐怖…日本人に吹く“逆風”

アストロズ・今井達也(左)とWソックス・村上宗隆【写真:小池義弘、加治屋友輝】
アストロズ・今井達也(左)とWソックス・村上宗隆【写真:小池義弘、加治屋友輝】

「村上のパワーは近年の日本人で一番」でも故障のリスク回避か

 日本人選手のメジャー移籍で“契約短期化”の兆しが見られる。今オフにポスティングシステムを申請した選手のうち、前西武・今井達也投手はアストロズと3年総額5400万ドル(約84億4500万円)、出来高を含めると最大6300万ドル(約98億6200万円)に達する契約を結び、前巨人・岡本和真内野手は4年総額6000万ドル(約93億9300万円)でブルージェイズ入りが決まった。2022年3冠王の実績を持つ前ヤクルト・村上宗隆内野手に至っては、ホワイトソックスと2年総額3400万ドル(約53億2300万円)の契約にとどまった。

 近年の日本人選手のメジャー移籍では、2023年オフにドジャースと12年総額3億2500万ドル(約508億8500万円)の超大型契約を結んだ山本由伸投手はさすがに別格としても、2021年オフに鈴木誠也外野手がカブスと5年8500万ドル(約133億700万円)、海外FA権を行使した千賀滉大投手も5年7500万ドル(約117億4200万円)。2022年オフにも吉田正尚外野手がレッドソックスと5年総額9000万ドル(約140億9000万円)の大型契約を結んできた。

 こうした前例に比べると、今オフに移籍した3人の契約は“控えめ”に見える。

 現役時代にNPB通算2038安打を放ち、現在はMLB中継の解説などで活躍中の野球評論家・新井宏昌氏は「今オフにメジャーへ移籍した3人に対するMLB球団の評価自体は、吉田、鈴木、千賀らと同等か、それ以上だと思います。特に村上は、パワーに関しては近年海を渡った日本人選手の中で1番でしょう」と指摘する。

 その上で「ドジャースの大谷翔平投手は別格として、MLB球団は怪我のリスクなどを考慮し、長期契約には慎重になっているのではないでしょうか。吉田は(2024年の秋に)右肩を手術した影響で昨季はあまり働けませんでしたし、千賀も怪我で長期離脱がありました。村上と岡本が昨季、そろって怪我でNPBのペナントレースを長期離脱したことも関係しているでしょう」と分析。さらに「ポスティングシステムとなると、契約総額に応じて譲渡金をNPBの前所属球団に支払わなくてはいけませんから、なおさら余計な支出を避けたがるのだと思います」とも付け加える。

タッカー、ベリンジャー、ブレグマンら大物の交渉が難航

 MLB球団が長期契約に慎重になっているのは、日本人選手に限った話ではないようだ。今オフのFA市場では、カブスのカイル・タッカー外野手、ヤンキースのコディ・ベリンジャー外野手、レッドソックスのアレックス・ブレグマン内野手ら大物の動向がまだ決まっていない。

 新井氏はその要因として、「最近のMLBでは長期契約が裏目に出るケースが目立っていますから。エンゼルスと7年契約を結んでいたアンソニー・レンドン内野手は、最終年の2026年の契約を解除して退団することになりました。クリス・ブライアント外野手も2021年オフに7年契約でロッキーズへ移籍後、故障がちで満足にプレーできたシーズンがありません。エンゼルスと12年総額4億2650万ドル(約667億7800万円)の契約を結んでいるマイク・トラウト外野手にしても、怪我が多すぎるのは否めません」と見ている。

 村上らとしては最初の1、2年で結果を出し、十分メジャーに通用することを実証した上で、より大型の契約を勝ち取るしかない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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