台湾で元NPB戦士が起こした下克上 指名漏れからタイトル獲得も…1年で変えた景色

元西武の呉念庭らNPB出身選手が活躍
台湾プロ野球(CPBL)の台鋼ホークスが、2025年シーズンは前期・後期ともに3位に入り、1軍参入2年目にして早くもプレーオフ争いに加わる躍進を遂げた。初年度は最下位に沈んだチームが、わずか1年でリーグを驚かせる存在となった背景には、選手たちの強い覚悟があった。劉東洋GMは「うちの選手たちは、チャンスを誰よりも大事にしている」と胸を張る。
2023年は2軍のみに参加し、2024年から本格的に1軍に参入した台鋼ホークス。初年度は49勝70敗1引き分けで、優勝した中信兄弟に20.5ゲーム差をつけられ、最下位に終わった。しかし2025年は59勝59敗2引き分けと、プレーオフ争いに向けて粘り強く戦った。劉GMは「初年度は最下位という結果でした。でも、選手たちは確実に成長しています。努力が結果に結びついたシーズンでした」と振り返る。
「プロ野球のこと知らなかった選手たちが、初年度1年間を経験して力をつけました。その力を引き出したのが、NPB出身の呉念庭内野手(元西武)、王柏融外野手(元日本ハム)、スティーブン・モヤ内野手(元中日、オリックス)の3選手です。彼らがチームの中心となってけん引してくれたことが、台鋼ホークスの躍進につながったと思います。うちの選手は、セーブ王を獲得した林詩翔(リン・シーシャン)投手を含め、ドラフトで指名漏れを経験した選手が多いです。新球団の台鋼ホークスがなければプロに入れなかった選手が何人かいる。彼らは、もらったチャンスを大事にして『プロの世界で成功したい』という選手が多い。誰よりも強い気持ちでプレーしています」
特に林は30セーブでセーブ王のタイトルを獲得。今年3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)台湾代表入りも有力視されている。「努力をすれば結果が付いてくることを証明してくれた。彼らが台湾球界の見本になってくれたら」と劉GMは期待する。
台鋼ホークスの本拠地、高雄は台湾南部最大の都市で、長らくプロ野球チームが存在しなかった地域だ。チームの誕生は、高雄に新たな熱狂を生み出した。
「高雄は『台湾の大阪』とも言われる街です。熱いファンが多く、球場ではユニフォーム姿の観客が年々増えています。2年目でここまで応援が広がったのは本当に嬉しいです。2025年はプレーオフに届きませんでしたが、2026年は必ずその舞台に立ちたい。高雄の皆さんに、もっと感動を届けられるチームにしたいです」
1軍参入2年目にしての快進撃は、台湾野球界に新しい風を吹き込んでいる。チャンスをつかんだ選手たちと、それを信じて支えるGM。台鋼ホークスの物語は、まだ始まったばかりだ。
(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)